2020.10.26 COLUMN

オフプライスストアちゃんと理解してる?現状をまとめてみました

by 深地雅也

こんにちは、深地です。

アパレル業界では定期的に流行のキーワードが生まれるのですが、最近非常に多いのは「オフプライスストア」ではないでしょうか。

オフプライスストアの意味を軽くググってみますと、

“自社および他社から仕入れた余剰在庫を定価より安く販売する業態”

との事。日本では最近まであまり馴染みの無い言葉だったかもしれませんが、アメリカではTJ MAXXという年商4兆円近い規模を誇る事業者も存在しています。「小売」という分類でしたら普通にZARA擁するインディテックスより大きい企業ですね。今回はそんな今流行りのオフプライスストアについてフォーカスしてみたいと思います。

 

アウトレットと何が違うの?

多くの方が疑問に思う事ですがこの内容、「アウトレット」と一体何が違うのでしょうか?

オフプライスストアの役割は日本では過去、在庫処分屋、通称「バッタ屋」と呼ばれる業態が同様の事業を営んでおりました。様々な企業から在庫を仕入れてはそれを小売業に卸したり、自社でショップをかまえて販売したり。意外と知られてませんが、筆者がサラリーマンをしていた10数年前でも、ブランドにはこのような業者が入り込み、在庫を買いに来ておりました。ブランド側は在庫の良し悪しに関わらず、不良在庫を簡単にキャッシュに換えられる事が大きなメリット。在庫処分屋は、普通ならあり得ないような価格で有名ブランドの仕入れが可能になる事がメリットになっていました。(1点300〜500円程度でノールックで仕入れる企業もあれば、上代からの掛け率5%程度という仕入れ方もあります。)

それがここ数年は大企業が参入するようになってきています。「セカンドストリート」を運営する株式会社ゲオホールディングスの【Luck・Rack(ラック・ラック)】や、ワールドとゴードンブラザーズジャパンが合弁で運営する【&Bridge(アンドブリッジ)】がそれに当たります。筆者のお知り合いの在庫処分屋さんにもこの二社から連絡が来ると言われてましたので、様々なルートを使って国内の不良在庫を集めているのがわかりますね。

結局このオフプライスストア、本質的にはアウトレットと何ら違いはありませんが、「サステナビリティ」が重要視される現在のアパレル業界においては特に使われやすくなってきたワードではないかと。型落ち商品だけを販売するのでは弱いと思ったのか、古着の回収やアップサイクル的なサービスを訴求する事業者も増えてきたようですね。

 

セレクトショップもオフプライスストアに参入

最近では、エストネーションのような高感度セレクトショップまでもがこのオフプライスストアに参入する、と聞いて驚かれた方も多かったのではないでしょうか。

エストネーション銀座店がオフプライスストアに業態転換

銀座店をオフプライスストアに業態転換し運営。基本的には親会社のサザビーリーグ傘下のブランドの取り扱いになるようですね。古着の回収やアップサイクルなどの取り組みを含める事で「サステナビリティ」を同時にプッシュしています。銀座という都心でのオフプライスストアの展開は珍しい事例ですが、過去にセレクトショップのリステアが似たような事はしていました。銀座にあったリステアのショップを「ウラリステア」という屋号に変え、不良在庫を販売。中にはプロパーで取引きしていないブランドのキャリー品も取り扱っていたので、これもオフプライスストアと何ら変わりません。

また、ビームスが青山に期間限定のオフプライスストアを出店したり、ベイクルーズのアウトレット専門のショップ【B.C.STOCK(ベーセーストック)】が表参道や大阪の心斎橋で期間限定で出店する、といった措置も過去見られましたが、このような業態は出店する商圏が非常に重要です。東京はどうかわかりませんが、大阪の在庫処分業者が出店する場所は、普段ブランドの顧客がお買い物をしないようなディープな場所に出店しています。自社のプロパー店との兼ね合いはどうするのか?は今後の課題になってくるでしょう。

端から見たら不採算店舗を、不良在庫を捌く為に有効活用した、という風にも見えますが、少し意地悪な見方でしょうか。大手セレクトでは、自社の不良在庫をアップサイクルしたものをブランド化するといった取り組みも一部では見られましたが、それだけで不良在庫を捌き切るのはやはり難しいのでしょう。

 

とうとう百貨店にも出店

最も衝撃的だったのは、オフプライスストアが百貨店に出店した事でしょうか。

Luck・Rack

地方百貨店の業績不振、そして閉鎖、というニュースは確かに多くなってきています。出店ブランドも限られてくる中で、短期的な売り上げ対策として今回のような取り組みは致し方無いように思えます。新たに名簿を獲得出来るチャンスにもなりますので、売り場の有効活用としては良かったのではないかと。

余談にはなりますが、百貨店の本来の強みは自店が持つ名簿です。優良顧客をこれだけ抱える業態は他にありません。デジタル化の一環として地方百貨店の優良顧客に対し、外商員がリモートで接客をする、といった事例も出てきています。普段、コミュニケーションを取っていない顧客に対してデジタル接客に慣れていない外商員が対応し、どの程度の効果があるかは未知数ではありますが。

ただ、今回の取り組みのような新業態に頼り切ってしまい、自社の持つ強みを忘れるような事はしないで欲しいと個人的には思いますね。

 

長々と書きましたが、新しい取り組みのように見えてその実、割と過去似たような事をしていた、という事です。(オフプライスの百貨店出店という販路は新しい取り組みですが)何をサステナビリティと捉えるかは企業や人にとってそれぞれですが、オフプライスストアを継続しようとする余り、今度はそこの在庫を潤沢にしようと新たに商品を生産するといった動きだけはしてほしく無いですね。プロパーで展開する商品をいかに残さず売り切るか、が最もサステナビリティである事は不変なのですから。

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