2020.09.23 COLUMN

これは当たり前じゃなかった?アパレルの商習慣(卸売編)

by 深地雅也

こんにちは、深地です。

先日、「ここまで書いていいの?」と思うくらいアパレルのリアルに切り込んだ記事を拝見しました。

ユニクロ、レナウン…アパレル元社員覆面座談会「なぜ売れない服を作りすぎるのか」

ユニクロやレナウン、ユナイテッドアローズなどの有名企業の中身を赤裸々に書き連ねた記事。業界の商習慣が外側から見たらおかしく感じる事は多いでしょう。

これは当たり前じゃなかった?アパレルの商習慣

これは当たり前じゃなかった?アパレルの商習慣(小売編)

以前もアパレルのおかしな商習慣について触れていますが、これは業態によっても大きく違ってきます。そこで今回は筆者の古巣周りである卸業で起こっていた、おかしな事件簿について記載したいと思います。筆者の周りだけの特殊な事情かもしれませんので異論は大いに認めます!

 

市場感覚が無い人が上代を設定している

ブランドを統括する事業部のトップと言えば、筆者の世代より一回り以上年齢が上のおじさん達で、当時でアラフィフですね。権限はこの世代が持っていましたから、商品の上代設定も当然ながらおじさん達が実行します。問題なのは、普段からおじさん達は市場調査など行きませんし、それほど服も買っていません。市場感覚がほぼ無いにも関わらず、商品の上代を決めてしまうという非常に恐ろしい事態が普通に起こっていました。競合比較もせず、めちゃくちゃ感覚だけで「うん、これは安いね」とか言うので、もはやホラーです。

同業他社でも似たような事態が見られたようで、事業部のトップが有能かどうかでここの精度が大きく変わります。若くして権限を与えられるスーパーサラリーマンも中にはいましたので、全部が全部絶望的という事でも無いのですが、マークアップ方式で全部一律でコストに○倍するケースなんかも起こり得る訳でして…。

 

ブランドのセールスは「世界観」より「口座」を優先


Photo by Jason Briscoe on Unsplash

「何故、このセレクトショップにこのブランドが?」なんて事は日常茶飯事で、とにかく自社が取り扱うブランドは毎度お馴染みのセレクトショップに差し込みます。所謂「口座が既に開いている」状態だからですね。新たに契約書を締結する必要も無く、発注があればすぐ商品を放り込めるので非常に楽です。

セレクトショップ側でもコンセプトがはっきりしているところとそうで無いところに分かれますので、「売れたら何でもいい」と思っているショップだとこのような事態に陥ります。特に取引形態が委託販売なら在庫リスクが発生しませんので断る理由もありません。

世界観を大事にしているセレクトショップならこのような事は起こらないのですが、そこそこ有名なショップでも「委託なら何でも取り扱う」という癖はありますね。ブランドをセールスするのであれば、この選定はもっと慎重にした方がいいに決まっているのですが、そもそもブランドを卸す当事者側もブランドの世界観や商品の特性を理解していない事もあるので難しいお話です。(ローライズのデニムをジャストで履き、お尻がいつも食い込んでいるおじさんもいました。)

 

商品が届いてからコーディネートを考える

これは酷いケースですが、前年度の発注金額とアイテム構成比別売上から発注をかけ、それが店頭に届いてから販売員が無理やりコーディネートを考える、というもの。卸メインのアパレルが小売をスタートするとこういった事態が発生します。事前にコンセプトがあって、そこからシーズンテーマを設定し、各月の展開計画を決めて…なんていうMD設計は皆無。スタイルへの理解がありませんのでコーディネートのイメージがバラバラだったり、強化品番が無いから売れ筋にしたい商品がすぐ完売して無くなってしまったり…。月売り予算だけはあるのですが、内容に計画性が無さ過ぎるので売上計画も絵に描いた餅です。小売出身の方が社内に入ってくると宇宙人のような目で見られます。


どれも耳を疑うようなお話ばかりですが、売れないには売れない理由もあるという事ですね。何故、こんな事ばかりやっているのか?と思うかもしれませんが、中の人たちからすれば元々やっている業務をそのまま踏襲しているだけでしょう。自分の頭で考えて、どうしたら売れるのか?と行動する人はそもそも母数が少ないでしょうし、ボトムアップで体制を変化させるのは非常にパワーが必要です。異業種から転職する方はお気をつけあれ。

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