2020.03.27 COLUMN

アパレル新入社員の取り扱い説明書

by STYLE it.編集部

こんにちは、深地です。

3月も末に差し掛かり、新生活が始まろうとしていますね。筆者が講師をしている専門学校も卒業式を終え、新社会人が新たな環境に胸を膨らませているところでしょうか。

講師を数年やっておりますと服飾専門学生の特徴が大体わかってくるのですが、ファッション好きの共通点なのでしょうか、中々に個性が強い人間が多く育成に四苦八苦しています。これから新入社員を受け入れるアパレル企業は、そんな専門学生を上手く育てていかなければならないので、筆者の思う専門学生の特徴をご紹介しておきます。

新年度の育成の方針の参考にして頂ければ幸いです。

好きな事しかしたくない

Ty Williams

ファッション専門学生は、そもそも「好きな事しかしたくない!」という動機で入学してきますから、その時点で大学生とやや毛色が違います。もちろん、どんな分野でも知識・技術を身につけるためには泥臭い作業や忍耐を伴う努力が必要なのですが、そういった事を教えようと思うと「自分がやりたい事と違う」とへそを曲げます。そう、我が強い割に忍耐力に欠けるのです。誰だ、「好きな事だけで生きていく」とか「努力は夢中に勝てない」とか言っているのは。でも好きに賭ける情熱は誰よりも強い…と信じたい。全身リック・オウエンスだから凄腕バイヤーになれると思っていたりするので要注意ですよ。

こういった若者は、同じコミュニティ内でも話を聞く人と聞かない人を明確に分けていますから、尊敬している人からの言葉には滅法弱い。まずは根拠の無い自信を折る作業から始めましょう。結局はコツコツ頑張っていくことが一番コスパが良いということを理解するには、時間がかかるのです。

興味関心の幅がせまい

ただでさえ「ファッション」という狭い分野を選択しているのに、そこから好きなジャンルが細分化されるのですから、とにかく興味関心の幅が狭い。デザイナーズブランド好きの人間に、SPAブランドの話をしても全然興味を喚起させる事が出来ませんし、韓国ファッション大好きな若者はベテランスタイリストの先生の授業を受けても「あの人は俺の好きなファッションを知らない」と普通に言い放ったりします。自分の好きなファッションについてピンポイントで教えてくれる人は大好きなので、好きなところから広げさせるのが得策です。まずは趣味趣向の調査から始めましょう。

主張は強いがロジックは弱い

Laura Chouette

とにかく個性が強く、強い主張はあるのです。が、如何せん感性が強いせいかロジカルな考え方が苦手です。堂々と矛盾した事を主張してきますが、論破してはいけません。すぐ凹んでやる気を失います。彼ら彼女らは正論が聞きたいのではありません。そして、あまり言いすぎると昔と違いパワハラと言われます。ベターな手法は、一旦は主張を受け入れる事です。考えを認めた上で徐々に切り崩していく事をお勧めします。「粗利の計算なんていつ使うんですか?そんな重要なんですか?」と言われても我慢です。(実話)

言語化が苦手

言語化がとても苦手なので、実はエントリーシートを書くのもとっても苦労しています。理由はただ一つ、活字に弱く、インプット量が少ないからです。ブランド名やデザイナー名はやけにたくさん知っていても、一般教養が不足しており、ビジネス用語はほとんど知りません。ディオールの歴代デザイナーを全て暗唱できるからといってブランドが売れるようになる訳ではありませんからね。まずは簡単な活字から読ませる習慣付けが必要ですから、小説でもいいので読書の習慣を身につけましょう。「ランウェイで笑って」ばかり読んでいても成長しません。

散財癖が凄いのでお金の管理は徹底させる

Erica Zhou

収入の割に高額なブランドを買い漁る習慣があります。所謂、ファッションヴィクティム(ファッション中毒)というやつです。この習慣は働き出したら余計加速してしまい、休憩の度にzozotownを閲覧するのが癖になります。買いたくて買いたくて震えるそうです。中毒を止める唯一の方法はクレジットカードを割る一択です。放っておくとマルジェラのレザージャケットをリボ払いで購入します。ファッション業界人の多くがこの道を通るのですが、加齢と共に収入は上がりますが物欲は下がるので、時間がそのうち解決してくれます。ご利用は計画的に。

火がつくとめちゃくちゃ頑張る

デメリットばかり言ってしまいましたのでメリットも一つ。やる気に火がついた時はめちゃくちゃ頑張ります。なので、やる気がみなぎっているうちに指示をしましょう。時間制限があるのと、着火点を探すのが一苦労ですがボーナスタイムを利用したら上手く成長してくれます。褒められるのは大好きなので、褒める事が出来るうちにたくさん褒めるようにしましょう。「そのメルカリで買った中古のイージーブースト、素敵だね!」と言ってあげましょう。


散々特徴を挙げてみましたが、何故こういったマインドが理解できるかと言いますと、筆者も専門学校出身だからです。つまり、ここまで書いてきた特徴は筆者の若かりし頃の姿でもあります。

ファッションのスキルって、デザインやスタイリングのように「センス」を問われるものが多いように思われがちですが、それは一部であり、ファッションビジネスは泥臭く面倒臭い作業がとても多いものです。しかし、ファッションの華やかな部分だけに惹かれて業界に入ろうとする人間は洗礼を受ける事になるでしょう。

もちろん、学校でもこのような若者を育てる努力は様々しているのですが、2年間という短い時間では18年間育ってきた環境を覆せるほど矯正するのは難しいのが現状です。

ですから、この続きはこれから入社する企業さんに託し、一人前のビジネスパーソンに育て上げてくれる事を願います。

そして、この記事を新卒社員にみせれば「そんな事ない!」と奮起して頑張ってくれるでしょう。

頑張れ新入社員!

TAG

RELATED ARTICLES