2020.02.05 COLUMN

ビジネスモデルが原因?ラグジュアリーブランドの廃棄問題を紐解く

by 深地雅也

こんにちは、深地です。

先週ですが、大阪に国内最大のルイ・ヴィトンの店舗がオープンしました。

 

国内最大・世界初の「ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋」オープニングイベントに広瀬すずら豪華ゲストが集結

世界初のカフェレストランが入ったりと非常に話題の店舗ですし、インバウンドも更に盛り上がりを見せるか?というタイミングでコロナウイルス。百貨店を中心にラグジュアリーの売れ行きが非常に心配ですね。

閑話休題

ルイ・ヴィトンをはじめとするラグジュアリーと言えば、やはり気になるのは「廃棄問題」でしょうか。ファッション業界の廃棄問題は、バーバリーの一件で一般的にも知られる事実となりましたね。先日、ガイアの夜明けでも余った在庫の行く末について取り上げられており、ソーシャル上でも物議を醸していました。

しかしこのラグジュアリーの廃棄問題に関しては、その他のブランドとやや毛色が違うように思うのです。その大きな理由はラグジュアリーのビジネスモデルと密接に関わっているかと思いますので、筆者の見解を交えてお伝えできればと思います。

 

ラグジュアリーのセールの特徴

Charisse Kenion

ラグジュアリーと呼ばれるブランドの一部は店頭でセールをしない代わりに、年間に12回程度ファミリーセールというものを開催しております。これはブランドの社員やその家族(または名刺を渡しておき招待するお知り合い含む)を招待し、製品を格安で販売するセールで、一般的なセールと比較するとクローズドな空間で行われます。筆者も職業柄、この手のセールは招待してもらってよく行くのですが、ある特徴があります。それは、ディオールもグッチもエルメスも、ファミリーセールで置いてある商品は衣料品がほとんどで、バッグや革小物はほとんど置いてないのです。何故このような事が起こるのでしょうか?

 

バッグや革小物の「消化率」は衣料品より高い

まず一つ挙げられるのは、製品特性上、バッグや革小物はシーズンや気温に左右されにくいので衣料品よりも販売期間が長く取れます。その結果、消化率が衣料品よりも上がりやすく、定価で売れる確率が高くなるのです。もちろん、出自がレザーの工房やバッグからスタートしているブランドも数多くありますので、バッグ・革小物が売れやすいという側面もあるでしょう。しかし、数々のラグジュアリーブランドの利益の源泉がレザーグッズになっており(決算書見たらすぐわかります。)、衣料品で勝負しているのはアルマーニくらいでは?とも言う人もいらっしゃいます。

逆に衣料品は販売期間が限られますし、売れ行きがトレンドにも左右されてしまうので、消化率を上げるのが非常に難しい。結果、売れ残りが多く出てしまいますから、通常のアパレルならここでセールを開催して消化を促進します。そして、一部のラグジュアリーは残った在庫に関して「ファミリーセール」や「廃棄」という選択をする訳ですね。つまり衣料品こそが廃棄の温床になりやすいのです。

 

衣料品は売上の5%にも満たない?

以前、興味深い推定を出している記事がありました。それはルイ・ヴィトンにおける衣料品の割合は5%にも満たない、というものです。(上記ツイートにあるRTWはready to wearの略で、意味は「既製服」です。)他にもルイ・ヴィトンの関連書籍に同様の記載があり、それなりに信憑性のある数字なのではないかと思います。LVMHの決算書を見ると衣料品の項目は「fashion & leather goods」というカテゴリーになっていて衣料品とレザーグッズが混同されており、数字は公開されていませんが。

上記はルイ・ヴィトンのみの事例ですが、先述した通り一部のラグジュアリーブランドにおける衣料品の売上というのはそれほど重視されていないという事です。「大量生産した方がコストダウンする」からとか「売り切れなかったから」という一般的なアパレルの事情とは違い、当初から余る事を想定しているように思えます。

 

では何故、衣料品を販売するのか?

Henry & Co.

余る存在であるなら生産しなければいいのでは?とお思いの方も多くいらっしゃるでしょう。これに関して「堕落する高級ブランド」という書籍で端的に説明してくれている一文があります。

 

服の写真は1年中雑誌に掲載される。

「いいか悪いかに関係なく、メディアに取り上げられる事が重要なのです。」

(「堕落する高級ブランド」より)

 

上記は、LVMHの会長であるベルナール・アルノー氏のコメントです。衣料品も、それに伴うコレクションショーも、ラグジュアリーからしたら広告宣伝のような位置付けなのでしょう。衣料品によって認知が上がり、バッグ・革小物、もしくは香水などで利益を獲得する、といったビジネスモデルでしょうか。(香水の利益率はレザーグッズと比較すると低いですが。)

ルイ・ヴィトンで言うと1997年にプレタポルテラインが生まれ、当時マーク・ジェイコブスがディレクターに就任したのも、ベルナール・アルノー氏にこのような思惑があったからとも言われています。もちろん、この限りではないブランドも存在しますが、大きく利益を上げているブランドの多くはこのビジネスモデルを採用しています。レザーグッズに関しては徹底的に流通コントロールをし、顧客に飢餓感を与え、「すぐ買わないと売り切れる」と思わせるようなマーケティングも成功しています。

 

今、世界中でサステナビリティが唱えられ、ラグジュアリーもこれに賛同するような動きを見せています。ですが、ビジネスモデルを見直さない限り衣料品の廃棄が無くなる事はないでしょう。ラグジュアリーがサステナビリティを唱える事ほど滑稽な事もないのでは?と思ってしまいますね。大量生産ばかりが槍玉に挙げられていますが、サステナビリティに反しているのは誰なのか、今一度考えたいものです。

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