2020.01.31 INTERVIEW

アパレル経験ゼロ、異業種からの挑戦。コンペ優勝者による“虹を纏う”ブランド

by STYLE it.編集部

【シタテル株式会社】【SHE株式会社】【ストアーズ・ドット・ジェーピー株式会社】【株式会社CAMPFIRE】の4社が協力し開催した「NEW ERA BRAND Challenge」。衣服系ブランドプロデューサーを志す女性を募集し、実際に商品化する優勝チームを決定する今プロジェクトは、12月に最終選考会が行われ応募総数123名の中から優勝者が決定いたしました。

選考会のレポート記事はこちら

#ブランドなんてつくればいい 熱い思いを叶えるプロジェクト・グランプリ決定

<優勝者への各社サポート内容>
シタテル:プロトタイプ制作
STORES:EC開設サポート、メディアへのアプローチなど事後PR
CAMPFIRE:クラウドファンディングサポート
SHE:メディアへのアプローチなど事後PR、プロジェクト前半でのブランディング講座。


今回は、現在ブランドの立ち上げ準備を行なっている、優勝者の上平田蓉子さんにプロジェクト参加の経緯から現在の活動についてお話を伺ってきました。優勝=ゴールではないと語る彼女の胸中は…?


上平田蓉子 / 兵庫県神戸市出身。大阪大学大学院生命機能研究科 脳科学専攻 修士課程終了。新卒で博報堂に入社し、データマーケティング業務に従事。現在は独立しフリーランスとしてブランド立ち上げや文化活動など様々な領域で活躍。

 

1ミリの後悔も残さないために

─ NEW ERA BRAND Challengeを知ったきっかけを教えてください。

次のキャリアではファッションに関わる仕事をしたいと思い、常日頃からアンテナを張っていた時期に、Instagramの広告で知りました。 前職のデータサイエンティスト からファッション業界への転身は難しいと痛感していたため、とにかくファッションに繋がりそうなチャンスにはなんでも取り組んでいました。今回のコンペはその数あるトライのなかの1つだったんです。なので、最初からブランドを立ち上げたいと強く思っていた訳ではなく、「いつか、海外で見つけた自分の好きなモノを日本で展開することができたらいいな」とふんわり思っていたくらいですね。

─ プロジェクト参加中はどんな心持ちで取り組んでいましたか?

これまでの27年間、なにかに挑戦するときはとにかく“目の前にあるチャンスを貪欲に、最高の形で取りにいく”ということにこだわっていました。挑戦ってやらなかった後悔はあっても、やりすぎて損することってないと思っていて。今回も、終わったあとに後悔を1ミリもしないために「これだけやってダメだったら縁がなかったんだ」と思えるところまでやりきる覚悟でした。

─ やりきるって実際すごく難しいことですよね…すごい。

立ち上がる女性を支えるブランド

ー ブランドのコンセプトを教えてください。

コンセプトは「立ち上がる女性を絶対に見捨てない相棒服」で「虹を纏う」をテーマとしたブランドです。人生の大半は働いて過ごすのだから、そのときに着ている服こそ自信を湧き出たせてくるものであってほしい。また、テーマにしている虹は、苦難を乗り越えたあとの希望を示していて、「今はしんどくても止まない雨はない」というメッセージを持っています。

現在私は27歳なのですが、この歳で新たな領域に挑戦することのハードルの高さを感じたり、周りで結婚・妊娠・出産などのライフイベントや、それにまつわる社会の偏見や固定観念に悩みもがく友人たちを見たりする中で、一人でも多くの女性が私の服を着て、自分のやりたいことを諦めずに「自分が主役」だと思って社会を活き活き渡り歩いてほしいという想いを込めて、こういったコンセプトにしました。

ー プレゼンの準備を進めていく中で大変だったことはありますか?

プレゼン内容に共感してもらうだけでなく、「このブランドの服を着たい!」と行動に繋がる読後感を持っていただけるように仕上げることを意識しました。共感だけでは商品が”服”である意味がないので、ブランドを誰に届けたいのか、服を通してどんな想いを伝えたいのかをリアルに想像してもらう必要があったんです。

アパレル経験の長い他の候補者と比べて、自分はどんな魅せ方ができるか考えたときに、私は会社勤めをしていた経験から同世代女性のリアルな悩みや感情がわかることが強みだと思い、服で生まれる気持ちの変化を動画で描こうと決意しました。

でも、撮影や編集などそれを形にする術を私は全く持っていなくて。様々な人づてで動画にご協力くださる方を探しましたが、なかなか見つからず一度は諦めていたのですが、最後ぎりぎりのタイミングで、本当に素敵な御縁に恵まれ、株式会社TORIHADAと出会うことができました。名もなき個人の無茶なお願いに、自身のお仕事もある中手を差し伸べてくださった皆様には感謝してもしきれません。繋いでくださった先輩方にも感謝しています。次は自分が誰かにとってそんな存在になれるように、どんどん成長していきたいですね。

─ ブランドの構想段階からSNSでの発信をされていたそうですが、前職の知見からやろうと思ったのですか?

いえ、前職は関係なく、ブランドを形にする上で得意な書道を活かして「字で伝える」ことが1番誠実で自分らしいと思ったんです。しかし、私自身SNSで表に出ることや、自分について頻繁に発信をすることが苦手で、SNSでの発信に対してとても葛藤しましたが、ブランドを届けたい人にちゃんと届けるという「最終目的」のためには自分の言葉を自分の手で発信する必要性を感じていたので、覚悟を決めてはじめました。今でも悩みながら発信しています。でも、初めてお会いしたことない方からDMで「この文章のこの部分に共感しました」や「応援しています」と仰っていただけて、「私にもこんなこと本当に起こるんだ!」って思って(笑)すごくその言葉に助けられましたね。わざわざDMを送信くださるという行為にものすごく感謝しているし、早く服を届けて直接お礼がいいたいです。

─ 上平田さんの投稿は手書きの文章で、本当に想いが伝わってきます。

私は普段から、この言葉を使うことで相手が傷つかないか、誤解を生まないか、など自分の発する言葉にものすごく気を遣ってしまうので、1度の投稿に5-6時間かけてしまいます。最終審査が近づいてきて寝ずに作業しているときは本当にしんどかったですね…。SNSをやっていて資料作りが終わらない。本末転倒ですよね(笑)

優勝したとき、うまく笑えなかった

─ プロジェクトに参加して優勝されたわけですが、率直な感想はいかがですか?

優勝はあくまでもきっかけという感じで、これからが本番だなと思っています。「やったー!」という気持ちは全然なくて「始まってしまった…自分で切り拓いていかないと。」という冷静な感情が大きくて、優勝発表後の写真撮影では、あまりうまく笑えませんでした(笑)

他の候補者さんも「優勝できなくてちょっとホッとした」と漏らしていて、その気持ちもすごくわかる…と思いました。だってその先は道がないから全部自分に降りかかってきますもんね。優勝したといっても、これからは自力で商品づくりや資金集め、ブランド立ち上げのすべての決断をひとつひとつ重ねて進めていかなくてはならないんです。

─ 現在は立ち上げに向けて、どのように動いていらっしゃるんですか?

今秋ローンチを目指してブランドオーナーさんや業界関係者の方に突撃でアポを取って、お会いしに行って、お話しを聞かせていただきながら、地道にブランド立ち上げまでの構想を練っています。やはり縫製のこと、工場のことなど生産管理にまつわる部分に関して知見の豊富なビジネスパートナーがもう1人いてくださったらいいなと思っているので、私のビジョンに共感してくださって、私と一緒にゼロからブランドを立ち上げてみたい、という方を随時募集しています!!!

※興味のある方は各種SNSのDMにてご連絡ください

同世代にとってリアルな「轍」でありたい

─ ブランドを通して変えていきたいこと

今回は女性向けのブランドですが、最終的には男女問わず、誰もがやりたいことに挑戦するハードルを下げたいと思っています。ただ自分が先陣をきって「ついてきて!」というニュアンスではなく、あくまでありのままの私で切磋琢磨する存在でありたいと思っています。成功している人の記事を読んでいても、「私とは違うな〜」と、自分にできない理由や言い訳を探して見ないふりをしますよね。それだと挑戦している方がメディアを通して発信する意味がないと思っていて。その人がどんな壁にぶちあたって、どんな失敗をして、どんな風に苦難を乗り越えていったかの軌跡というか、リアルな「轍」が大事だと思うんです。どんな困難があるか分からなくて新しいキャリアに踏み込めないのなら、その困難と、それに対する解決策の情報共有は先に経験した人がどんどんしていく。その轍をたどってチャレンジする人が増えることこそが発信をする意味であり、日本に挑戦文化と失敗を称える文化を、醸成する鍵だと思っています。

なので、まずは私の挑戦を暖かく見守ってください。未経験の私がゼロからブランドを立ち上げる過程を発信することで、挑戦することの大変さも、楽しさも同世代の皆さんに知ってもらいたい。それを見て「私もできるかも!」「挑戦してみたい」と思ってくれる人がいたら本望です。

─ 今後の目標はありますか?

目標を細かに設定することはありません。いつも突然、予測不可能なことが起きて予定が狂うからです(笑)最終的なゴールは、ブランドを成功させること。その方向性だけはきちんと設定して、あとは今目の前にあるできることを地道にこつこつとひとつずつクリアしていくだけです。それを積み重ねた先に新たな課題が見えたら進路変更したり、途中で新しいアドバイスをいただいたらそれに素直に倣ってみたり、方向性があっていれば、道筋は間違っていてもいいからたくさん試してみるのがいいと思っています。

その方が経験値も増えるし、失敗をしても誰かの痛みを知ることができる。これまでもたくさん回り道をしてきたけど、その全てが今の、この今日の私を形成する要素になっているのでやって無駄だったことはひとつもなかったと思っています。

上平田さんSNS:Twitter / Instagram

NEW ERA BRAND Challenge:https://she-inc.jp/events/newerabrand/
公式note:https://note.com/nebc

動画STAFF LIST
Producer/Dir/Cam:政井孝夫(TORIHADA)
PL/Cam:ヴァンミーターニコラス勇樹(TORIHADA)
Light:菅(TORIHADA)
Cast:haru. 高山千尋 高橋裕梨奈
Production:TORIHADA
*株式会社TORIHADAは「鳥肌が立つ感動を作る」をビジョンに、クリエイティブとテクノロジーの力で感動体験を創出し、個人や企業の活動をサポートするエモテック企業です。
https://www.torihada.co.jp/

ブランドへかける想い、優勝者に選ばれたときの正直な感情、全てを「リアル」に伝えてくださった上平田さん。そこには、立ち上がる女性を見捨てずに支えるという強い気持ちが込められていました。最終審査会でのプレゼンでは、彼女の熱い想いに会場にいた全員が心を揺さぶられたような空気を感じたし、動画制作の件や、SNSを通して伝えられる応援メッセージの話も全て彼女の強い想いが届いたという証拠なのだと思います。これから彼女が立ち上げるブランドが、世の中の女性にどんな影響を与えるのか、想いが届くのか、楽しみです。

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