2019.12.20 FASHION

楽しい未来を語ろうよ。夢が集まるファッションテックの学校TFL

by STYLE it.編集部

ファッションテックが注目を集めるようになってから数年が経ちました。しかし、ファッション業界にはまだまだテクノロジーが浸透していないのが現実。そんな中でファッション×デジタルに興味を持っていたり、どうやってスキルを身につけたらいいのか分からずに悩んでいたり、スキルアップしたいと考えながら企業に勤めている方も多いのではないでしょうか?

今回は、2年半前原宿に開講したばかりのプライベートスクール【Tokyo Fashion technology Lab(東京ファッションテクノロジーラボ・通称TFL)】の代表を務める市川雄司さんに、TFLが行なっていることや、今後のファッション業界で求められるスキルについてお話を伺ってきました。

TFLとは…

「ファッションはテクノロジーで進化する」を掲げ、最新のデジタルテクノロジーを活用してファッション業界を変えていく人材を育成することを目的として開校したスクールです。創造力を生み出すメソッド「デザインシンキング(※1)」「スペキュラティブデザイン(※2)」を軸に、3ヶ月〜1年で学べるようワークショップをプログラム化し(期間はコースにより異なります。)育成、起業・就転職までサポートしてくれます。

6つの特徴

・デジタル活用による短期学習

・日本最高峰の講師・理事 陣

・スタートアップ支援

・ダイバーシティメソッド

・インターンシップ&就転職支援

・卒業後も参加できる最先端の研究会

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新しいものを生み出す教育が必要

長らくファッション業界や教育に携わる中で「新しいものを生み出していく教育が必要だ」と感じたという市川さん。120名のプロ講師・12名の理事からの協力を得ているTokyo Fashion technology Lab(以下:TFL)はなぜ開講することになったのでしょうか。

─ 設立のきっかけを教えてください。

市川さん(以下敬称略):日本ではファッション教育というと専門学校に通って技術や知識を身につけると思うんですけど、専門学校を卒業してもデザイナーやパタンナーになれるのは1割もいないんですよ。それよりも、ロンドンのセントラル・セントマーチンやベルギーのアントワープ王立芸術アカデミーで行われているような、ファッション業界を変える「新しいものを生み出す」能力を育てる教育メソッドを日本の教育に取り入れたいなと思ったんです。

夢を現実にしたい人が集う場所

設立から2年半で250名の生徒を受け入れているというTFLは、満18歳から応募することができ、老若男女問わずファッションテックを学びたい方が集まっています。イベントが開かれたり、卒業後も参加できる研究会があったりと、授業だけでなく1つのコミュニティとしても機能しているそう。

─ どんな方が受講されているんですか?

市川:上は50代から下は19歳の方が通っていて、ファッション関連で働いている方はもちろんですが、ITなどファッション以外の職種の方や大学生、専門学生、フリーターがいらっしゃいます。根本的にファッションが好きで、夜間の専門学校に通って知識技術を学ぶよりもブランドやビジネスを始めることに繋がることを学びたいという方が多いですね。

─ イベントなども行われているんですか?

市川:雑誌の編集やクリエイティブディレクターをしている理事の米原康正さんが定期的に学校で「スナックよね」という会を開いています(笑)。学校なのに「スナック」です。ずっと原宿でファッションを見てきた米原さんが「昔は安いカフェがたくさんあって若い人たちが集って夢を語りあっていたけど、今はクリエイターの卵たちが集える場所がないからそういう場所を作りたい。」ということで、2ヶ月くらいずつ有名なクリエイターさんを呼んで、イベント開催後、スナックという交流会を開催しています。

─ 「夢を語れる場所」素敵です…!

市川:学校のすぐ側に原宿のとんちゃん通りがあるんですけど、日本のファッション黎明期時代にはパリコレクションに参加するブランドの若手たちが集まって次のシーズンでなにやろうとか、どうやって世界に行こうとか、いわゆるライバル企業にも関わらず一緒にお酒を飲みながら夢を語り合ってたんですよ。TFLをそういう場所にしたいという思いもあって、原宿に学校を設立しました。

今、ファッションテックに強い人材が求められている

─ 卒業生はどんな職種に就かれるんですか?

起業したり、企業のデザイナーやEC担当になったりとさまざまですね。特に転職を希望する人は販売員や営業ではなく本社勤務を希望しますので、求人の多いEC部門を狙っています。マーケティングやEコマースに強い人は感性やファッションに弱く、逆にファッションに強い人はITやデジタルに弱かったりするので、ファッションテック人材は慢性的に不足している状況。必要なスキルやリテラシーを高めることで、異業種からでも転職が可能になるんです。

─ EC以外にファッションテックを学ぶ必要性などについてどのように考えていますか?

市川:ファッション業界のテクノロジーの活用は遅れているとよく言われますが、数年後には当たり前のことになってくるかなと。上記が経産省の資料なんですけど、もっとスマートな社会になりましょうと国が発表しているんです。そうでないと「ジリ貧」になると。第4次産業革命と言われている今、AIやビッグデータを用いてテックとリアルを融合して効率化していく必要があるのに、アパレルの中には新しい技術の導入自体を拒否している企業も多く、その段階ですごく取り残されていると感じています。

─ なぜデジタル化が進みづらいのでしょうか?

市川:経営層や管理職の方のファッションテックのリテラシーが低いと言われていますよね。それと、縫製工場や機屋さんなどが零細で高齢化しており、いまだにFAXなんですよ。このような産業構造や環境も影響していると思います。しかし、オンワード のリストラのニュースのように、いよいよ大手企業もファッションテック 化の動きが始まりましたが、中で働いている人たちもデジタルトランスフォーメーション(※3)しないとデジタル化は進まない。かといって会社と社員どっちが悪いとかではなくて、業界全体が行動し改革をしなくちゃいけないんだと思います。

世界的に見たら人口が増えていく中で、衣服の需要は伸び続けます。環境問題のことを考えると我々はAIやデジタルツールを使ってファッションの未来を作っていく必要があるし、未来を作れるのは我々人間だけじゃないですか。AIで未来推測はできても選ぶのは我々人間なので、学校側は生み出す力や価値判断できる感性を育成しなくちゃいけない。にも関わらず今は同じものを効率よく大量生産するようなことを教えようとする教育も変化しないと意味がないと思います。デザイナーやクリエイターはみんながワクワクするような楽しい未来を語るべきじゃないですか。

バーチャルファッションデザイン

さまざまなコースがあるTFL。2020年4月からは新たにバーチャルファッションデザインのコースが開設されるそう(国内唯一)。年々業界における需要が高まってきているにも関わらず、3Dモデリングソフト「CLO」を使える人材はまだまだ少ないそう。

─ なぜ、新たにコースを開設したんですか?

市川:1年前から特にパタンナーに向けて3Dモデリストのコースはスタートしていました。服のシルエットを作るパタンナーって、技術者にも関わらずファッション業界の職種の中でも給与水準が低いと言われているんです。なので、パタンナーのスキルアップを支援することで、給与水準を上げたり選択肢を増やしたいなと。AIのリテラシーと創造力を高める授業やワークショップを行いながら、PCの中でものを生み出せるクリエイターを輩出したいと考えています。

3Dモデリングができるソフト・CLOを使える人材の需要が高まってきていて、国内でもZOZOテクノロジーズやファーストリテイリングが人材募集をかけていたり、グローバルでいうとZARAやNIKEなど大きい企業が使用しているので、今後広がっていくのは間違い無いですね。

─ 本当にリアルですね…!

市川:人間のようなリアルな動きも再現できるので、3DCG内でファッションショーもできます。消費者はこれくらいリアルに商品が分かれば十分購入できるし、商品ページの写真をクリックするとCGが動くECサイトも増えてくると思います。静止画よりも世界観が分かるし、シルエットもわかりやすいですよね。

価値観の変化が起こっている

─ 最後に、市川さんから見て今後国内のファッション業界はどのように変わっていくと思いますか?

市川:今期のアパレル企業の決算を見てみると、利益を出してるのは責任を持って高い価値の服をお客さんをコミュニケーショをとってきちんと作っている企業なんですよ。ここ十数年は海外で安く大量生産して値下げして大量に消費させるビジネスモデルだったのが、変わりつつあるんじゃないかな。相次ぐファストファッションの撤退を見てても感じますよね。

また、ECの集客方法を考える上で、リアルな店舗も“広告塔”として価値を見直されているんです。ECと店舗の関係性を広げることが、今後の広がりに繋がっていくんじゃないかと思います。

 

Tokyo Fashion technology Lab:http://tfl.tokyo/ 

 

※1:問題を解決するマインドセットのこと
※2:「未来はこうもありえるのではないか」という憶測を提示し、問いを創造するデザインの方法論
※3:企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に、いい方に変化させていくこと。


取材中、ファッションモデリングソフト・CLOで作成したデザインデータやファッションショーのデータを見せていただいたのですが、予想を上回るほどリアルで未来の可能性を感じました。実際にサンプル検討会をデータのみで行なっている企業があったりと、今後確実に広がっていくスキルだと感じました。また、バーチャルデザイン以外にもECやSNSを使用したプロモーション・マーケティングについて教えてくれるコースがあったりと、身につけておくと武器になる授業が豊富でした。ファッションに関わる仕事をしたい・学びたいと考えている方はぜひチェックしてみてください。

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