2019.12.11 COLUMN

今と昔では何が違う?専門学生の“好きなブランド”調査の実態

by 深地雅也

こんにちは、深地です。

歳をとる度に、若者の実態を調査する記事が気になる現象は一体何なんでしょうか。 Web上で毎日のように見かける、若者の流行を追いかける記事を見かける度に自分が歳をとったのだと、より実感します。

先日、WWDでもそんなアンケートが実施されていました。

SNS世代1600人を徹底調査 よく利用するショップTOP10

ZOZO」や「メルカリ」「楽天」のようなプラットフォーマーがショップなのか?という議論は置いておいて、16年前に専門学校に入学した筆者の世代から見ると、状況が一変していて面白いです。

 

よく利用するショップと好きなブランドが全く違うのも特徴的ですね。学生さんは高いブランド買えない人も多いので、こういった回答になるのもよくわかります。上記のツイートにはたくさんのリプライが寄せられていたのですが、

「今はこんなランキングになってるんだ。」

「学生に聞いたらこうなるの当たり前だよね。」

のようなご意見が多かったように思います。過去の専門学生の状況、今の時代背景を鑑みた上でのご意見なのでしょうけど、過去は一体どういう状況だったのか?そして、今何故これが当たり前になっているのかをちょっと考えてみたいと思います。

ちなみに筆者は、大学中退後、21歳(2004年)で専門学校に入学。30歳で母校に戻り専門学校の講師をスタートし、今年で7年目という経歴なので双方の事情をよく知っているつもりです。

 

昔の専門学生は高いブランドばかり買っていた?


Jazmin Quaynor

ぶっちゃけて言いますと、専門学生が買う物に今も昔もそこまで偏ったジャンルなどありません。ただ、ソーシャルメディア全盛の今の時代の方が好みが細分化されている印象はあります。10数年前ファッションの情報発信は雑誌中心でしたから、受け手となる学生たちの好みも自ずとそこに影響されやすい。

ただ、一つ確実に言えるのは、今のように「安くて良い物」は圧倒的に少ない時代でした。「ファストファッション」なんて言葉はありませんでしたし、セレクトショップのオリジナル商品のクオリティもまだまだ低い時代。(特にメンズ)今では考えられませんが、クラスの中にはワールドやサンエーインターナショナルのような百貨店アパレルのブランドをよく買う学生も珍しくなかったのです。そう考えるとレディースはまだそれなりに選択肢があったからこそ、ハイブランドに偏重する学生さんは少なかったんではないでしょうか。

筆者が学生時代、ちょうど過渡期でしたから「HARE」という株式会社ポイント(現アダストリア)のブランドがDior hommeに酷似した商品を発売しただけで、こぞって買いに行く学生がたくさんいた事を覚えています。結局、選択肢が無かっただけで、皆んな安くてハイブランドと同じテイストの物があれば買いに行くのです。高い物を身につける事で感じられる権威性があったという事も否定しませんが、学生の懐事情は今と大差無いのですから(時給考えると今の方がまだ潤ってるかも?)、今このような状況になるのはよくわかります。

 

今の学生は高いブランドを買わない?


Christian Gertenbach

女性は昔から、購入するブランドの選択肢がたくさんあったからこそ、今もこの傾向は強いですね。普段からの癖で「好きなブランド」をいつも学生さんには聞くのですが、女性からハイブランドの回答をもらえる事は少ないです。体感ですが、一番多いのは中価格帯ブランド。マークスタイラー、バロックジャパン、あとは大手セレクトショップあたりでしょうか。低価格商材もよく購入しているのでしょうけど、「好きなブランド」という質問では出てきません。それで言うと、WWDのようにデザイナーズブランドの回答も耳にしません。(ビジネスコースとクリエイターコースで違いがあるのかもしれません。)

逆に男性は今でもハイブランドが好きでよく着ている学生さんを見かけます。トレンドであるラグジュアリーストリート系のブランドも多く見られますね。昔はコムデギャルソン、マルタン・マルジェラ、東コレ系ブランドが中心だったのですが、かなり分散されてきた印象があります。やはり、今も昔も男性は財布の紐がゆるく、アルバイトで稼いだお金をすぐ服に散財する人間は一定数いるようです。

また、今の学生さんが昔と一番違うところは、情報収集の方法でしょう。学生さんにヒアリングすると結構な頻度で「ファッション雑誌を読んでいない」という回答がありますし、代替しているのはもちろんInstagram。そうなると、学生さんの趣味嗜好によってリーチする情報が全く異なりますから、Instagram上でのみ拡散されているショップやブランドもチャンスがあるのです。個店ベースでも数万フォロワーを抱える古着屋も珍しくありませんので、よく利用するショップに「古着屋」という回答があるのも頷けます。


アンケートだけを見ると、単純に「若者は高い服を買わなくなった」や「今でもハイブランドへの憧れはある」という見え方をしてしまいそうなのですが、実態はもっと複雑です。ただ、卒業後にファッション業界に就職した人間がファッション関連アイテムに散財する金額は格段に上がるでしょう。周りの環境や、ファッション関連アイテムに対するインプット量が増えれば、自ずと使う金額は上がっていくのです。高い服を買わない若者を憂うのであれば、業界に入ってきてもらうよう努力していきたいものですね!

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