2019.12.09 INTERVIEW

アナログだけでは通用しない。アパレル生産管理の課題解決を図るAYATORI

by STYLE it.編集部

さまざまな産業のIT化が進む中、まだまだアナログと言われているアパレル業界。中でも、製品を作るサプライチェーンの川上部分ではFAX・電話によるやりとりが多いそう。業務効率化ができていないために、コミュニケーションロスが起こったり、業務が増えてしまったりなど課題を多く抱えています。

そんな多くの課題を解決しようと立ち上がったのが、アパレル業界の川上から川下までを繋ぎ、まとめて管理できるプラットフォームサービス【AYATORI(アヤトリ)】。ブランドやメーカーだけでなく、工場や装飾品の会社などサプライチェーン全体の中心にAYATORIを据えることで、生産管理の業務効率化や課題解決を図ります。

導入しているブランドやメーカーが招待をすることで社外の方も利用でき、データの授受やコミュニケーションの見える化、タスク管理など生産管理を行う上で必要な情報をサプライチェーン全体で共有できる仕組みとなっています。(※公開範囲の設定も可能)


高校卒業後、販売員としてキャリアをスタート。アパレル企業7社・11年のキャリアを積み、MARK STYLERでブランド開発事業部部長を務めたのちIT業界へ転職。2018年株式会社Deep Valleyを設立し、2019年7月AYATORIをリリース。


販売員からスタートし、
ファッション×テクノロジーに強い人として起業したいという思いから起業・AYATORIを開発した【株式会社Deep Valley(ディープバレー)】代表・深谷 玲人さんにAYATORIやアパレル業界のサプライチェーンについてお話を伺ってきました。

テクノロジーを学ぶ必要を感じ、IT業界へ

─ アパレル業界からIT業界に挑戦したきっかけを教えてください

2014年頃からアパレル業界でもSNSとECが注目されはじめ、同時に売上推移が下がってきていました。売上自体は下がっていたのですが、SNSとECだけで多くの商品が売れることに感動したんですよ。以前から「感覚で“売れそうだから多めに発注する”ような世界」って正しいんだっけ。といった疑問も感じていたので、テクノロジーを学んでいく必要性を感じてIT業界に転職しました。

─ 転職してみてどうでしたか?

さまざまな産業がテクノロジーを使った技術革新を行なっているにも関わらず、アパレル業界ではチャレンジしているプレイヤーが少ないことに気づきました。社内でも「手書きは面倒だからやめろ」と言われたこともあって、アパレル出身の僕には衝撃的なことが多かったですね(笑)
アパレルではアナログであることが美しいというような空気があるんですけど、ただアナログなだけでは通用しなくなってきているじゃないですか。時間の制約や働き方改革もそうですし、多品種小ロットの増加に合わせて戦略も変えていくべきだと思うんです。仕事においてはアナログであるべき部分とそうでない部分両方あって、前職では人に会いに行く時間を多くするために、無駄な作業をシステム化しよう。というような方針だったので、納得感もあって僕にはスッと入ってきましたね。

複雑すぎるアパレル業界の仕組み

─ 昔から続くアパレル業界のサプライチェーンについて教えてください。

農業から始まり、糸を作る人、生地にする人、生地を加工・検査する人、裁断して縫う人、装飾パーツの会社、さらに物流があってブランドに入ってきてやっとお客さまに届けられるんです。サプライチェーン自体が長くて、分業化が進んでいるので他の業界に比べて複雑なんですよね。

─ 長いサプライチェーンの中で、特にどの部分がアナログなんですか?

対消費者の部分においてはデジタル化が進んでいるんですけど、ものづくり側の方はまだ8割くらいの方が手書きの仕様書を使っているんですよ。そうすると、手書きのデータをECやPOSシステムに手入力で打ち込む必要があり作業が2倍に増えたり、ものづくり側の方も業者によって異なるフォーマットに合わせなくてはいけなかったりするので、デジタル化することで統一していきたいですね。

生産管理の課題を解決するAYATORI

─ AYATORIを想起したきっかけを教えてください。

アパレル企業として仕事をしていく上で1番大変だったのが、生産の部分だったんですよ。例えば12月1日発売の商品があったとして、それが納期に届かないことが当たり前のようにあって。そんな状況でも先行受注を受けていたり、モデルさんが着用した雑誌が発売したりしていて、すごい勿体無いなと思っていました。

・分業化が進んでいる

・伝言ゲームになってしまっている

といったことが原因で「1日出荷って言ったじゃないですか」「いや、1日納品です」といった情報のすれ違いが起きてしまい、その結果生産管理の担当はずっと調整の電話をしていて、それって意味あるのかなって。僕自身アパレルにいた時は急かすことしかできなかったんですけど、IT業界に入って外から見たら、全員同じ目的に向かっているのに個別で管理して各々ストレスを感じているなんて不健康だと感じたんです。そこを解決するためには、みんなが管理しにいけるようなプラットフォームが必要だと思ったことがきっかけです。

そうすれば、工場とブランドの情報を双方が使え、よりよいものを作れると思いますし、制作を始める段階からデジタル化してサプライチェーンの中心に据えてしまえば、生産面が抱えているボタン屋さんとはFAXでやりとり、工場とはメール、ブランドとはLINEなど異なる連絡ツールにより情報が点在している課題を解決できると思いました。

─ なるほど。AYATORIはGoogleドライブに近いイメージですかね?

そうですね。AYATORIならではの機能でいうと、品番単位で公開範囲を設定できるところがポイントですね。SlackやLINEでいいのでは。という話もあるんですけど、LINEで管理しようとするとブランドとOEM、OEMと工場、OEMと生地屋というように1つの商品だけでグループをたくさん分けなきゃいけないんです。更に品番ごとに分ける必要があり、1シーズンだけで相当なグループ数になってしまうんですよね。必要な情報やログが全て管理されているので、検索すれば見つけられるのも大事なポイントです。

─ 導入企業の反応はいかがですか?

今までこういったツールがなく、同じ部分に課題を感じながらも解決方法がわからないといった方が多かったので、いい取り組みだという反応をいただくことが多いですね。今いただいてる声でいうと、1日50〜60件していた電話の回数がぐっと減りお客さまコミュニーケーションロスが減ったとか、ヒューマンエラーが減ったことで納期トラブルがなくなっただとか、今までファイリングをするためにしていた大量の印刷コストが浮いたりといった話をいただいています。

─ AYATORIを広げることで、どんなサプライチェーンを目指していますか?

1番わかりやすいところでいうと、複雑すぎる仕組みのプラットフォームとなりセキュリティをかけながら全員がアクセスできる環境を実現し、それによって溜まったデータを活用して業務の効率化を図ったり、データをさらに分析してものづくりに活かしていきたいです。これまでアパレル産業の課題であった部分をデジタルトランスフォーメーション(ITの力でいい方に変化させる)していく世界をつくりたいです。

AYATORI:https://www.deepvalley.co.jp/ayatori

Deep Valley:https://www.deepvalley.co.jp/


対顧客に関してはデジタル化も進んでいるアパレル業界ですが、生産を行なっている企業間のやりとりはまだまだアナログな部分が多いそう。IT企業でしか働いたことのない筆者としては正直「よく成り立っていたな…」と思う面もあり、驚くことばかり。

アナログなことが美徳とされていたり、システムを導入して業務効率化を図るという概念がなかったりするアパレル業界に対して、ITをより身近に感じてもらうために、システムの導入障壁を下げるために、今まで以上に発信をしていきたいと感じました。

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