2019.11.15 INTERVIEW

児島から海外へ。JAPAN BLUE JEANSが考えるブランドの在り方

by STYLE it.編集部

生産工場の若者離れ、環境問題など多くの課題を抱えるアパレル業界。しかしそんな状況を岡山県・児島から変えていこうとしているジーンズブランドがありました。紙媒体での情報発信が減ってきている中、カタログなどを丁寧に作りつつ、webでの発信にも注力しているブランド【JAPAN BLUE JEANS(ジャパンブルージーンズ)】。

1992年にテキスタイルを販売する会社として立ち上がった【株式会社JAPAN BLUE(ジャパンブルー)】から、2012年海外に向けたジーンズブランドとなるJAPAN BLUE JEANSがスタートしました。JAPAN BLUEにてテキスタイルの企画・生産などを行なった後、JAPAN BLUE JEANSに立ち上げから携わっているという岸本さんに、お話を伺ってきました。

海外に向けて発信するブランド

─ JAPAN BLUE JEANSについて教えてください。

元々は弊社の素材を海外に広く知ってもらうために始めたブランドでした。今は日本と海外半々くらいで販売をしていて、直営店が国内に5つ、海外の卸先はドイツ・フランスを中心に70店舗ほどあります。

─ 日本と海外のジーンズで違いはありますか?

大きくは生地の違いですかね。海外だと、大量生産に適した形に設備が整えられているところが多いのに対して、日本は多品種小ロット化も進んでいて面白いものが作れるかを思考する流れに変わってきているので、方向性が違うんです。

私たちは生地をなるべく優しく織ってあげて柔らかい風合いで着心地がいいものを作ることを意識していますが、それだとどうしても効率が悪くなってしまうので、大量生産をする場合は縦糸をピンと張って早く織る硬い織物になります。縫製の面でも、アイロンをかけてから縫いはじめるなどの一手間を加えるときれいに縫えるんですけど、何万枚も作ると小さな一手間でも大きな時間ロスに繋がり、お金も時間も変わってくるので、細かいところが少しずつ違いますね。

また、弊社の話でいうと、弊社は工場さんの新しいアイデアも取り入れながら一緒にものづくりをしているので、作り手の想いをしっかり伝えることができお客さまにも喜んでもらっています。作り手にもやりがいを感じてもらえる形にしていきたいです。海外の方も、そういうこだわりの部分を気に入ってJAPAN BLUE JEANSのファンになってくれているのだと思います。

20SSから、環境問題の解決&発信に注力

─ ものづくりを行う際、環境への配慮も行なっているとのことでしたが具体的にはどんなことをされているんですか?

ジーンズ産業自体が、水の使用料や排水問題・生産のために使用する薬品が人体に悪影響を及ぼすなど環境に悪いと言われているんですよ。その中でも日本は法律も厳しく、これまでも排水処理施設などに投資をしたり環境への配慮は行なっていたんですけど、20SSからは、元々取り組んでいたことをより深掘りしながらしっかり発信をしていくことに注力しはじめました。私たちも全く汚していないわけではないので、釜を改良して染色の段階で使用する水を8割削減したり、薬品を使わずに色を落とす方法を取り入れたりなどをしています。

─ ジーンズ産業はそんなにたくさん水を使うんですか?

例えばジーンズを洗う工程で水を使いますが、そこの水を削減しようとすると、新たに設備投資が必要であったりいつもと違う特別な手間が必要になります。ただそこを削減しようとすると作業工賃が増えたり、コストがかかるので産業全体としては取り組めていないのが現状です。弊社はそういう取り組みを行い、社内のスタッフをはじめお客さまにも伝わるような発信をすることで、少しでも多くの人の意識を高めて、みんなで環境への取り組みを行っていきましょうという想いでやっています。なので、国内はもちろん海外へもしっかり発信をしていく必要があると思っています。

─ これまでは紙での発信を積極的に行なっていたんですか?

そうですね。海外に向けたブランドということで、スタートしたときから英語でも発信していて、お客さまには好評です。毎シーズンカタログが完成する度にお客さまに発送しているんですけど、わざわざブックを持って商品を探しにきてくださる方もいらっしゃったり。やっぱりカタログで商品を見つけるのは、偶然の出会いというか予想していなかった商品に出会えるので、そういった面で紙も大事だなと思います。

─ 今後はwebにも力を入れていくんですか?

紙での発信は続けていくんですけど、webの発信もしていきたいと考えています。オウンドメディアとして発信していきたいとは思っているんですけど、現状ショップブログ・Instagram・Facebookはあるんですけど、そこまでしっかり発信できていないので…。環境への取り組みや海外に向けて発信をするためにも注力していきたいと思っています。

ブランドに関わる全ての人をハッピーに

─ 今後達成したい目標や想いはありますか?

「私たちの街をハッピーにしたい」というテーマを掲げていてるんですけど、これはちゃんと街に仕事や遊ぶところがあって、住みたくなる理由をつくりたいと思っているということなんです。そもそも仕事がないと人は集まらないので、私たちが仕事を適正な価格で出し続けて雇用を安定させるというところですね。そのあとに、公園やカフェなどができてくると思うので、まずは季節による閑散期を無くして出来るだけフラットに注文をするようにしています。

今は仕事を出し続けられていて、工場で働く方も増えているんですよ。若い子が入ってきたり、縫製工場もあと継ぎが出てくれたり。やっぱり仕事が途切れないという安心感が大切だと思うので、そういう意味では一歩ずつ理想に近づいているのかなと思います。

─ 今はもちろん、未来にも仕事があるって大切なことですよね。

「私たちの街」っていうと児島だけのことのように思われてしまいがちなんですけど、私たちにとっては、岡山県でもあるし、日本でもある。弊ブランドの取扱店も日本中にあるので、そういうところがハッピーになればその周りの人もハッピーになるんじゃないかという考え方でやっています。ただジーンズを作るだけでなく、ジーンズを通して私たちにできる地域への貢献が何かはまだ試行錯誤の段階です。環境や地域の問題を私たちなりに楽しく解決していきたいです。

 

JAPAN BLUE JEANS:https://www.japanbluejeans.com/


アパレル業界で話題となっている環境問題や工場の後継問題など、1つ1つの課題にしっかりと向き合い、みんながハッピーになる世界を目指しているJAPAN BLUE JEANS。岸本さんのお話を聞いて工場の数は減っていても若い職人さんが増えていることなど、リアルな今の生産背景を知ることができました。カタログやwebでの情報発信にも力を入れていて、D2Cブランドのような新興ブランドだけでなく、テキスタイルや生産地のことをよく知るJAPAN BLUE JEANSのようなブランドが想いや背景を伝えてくれる機会が増えるといいな、と思いました。

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