2019.10.11 INTERVIEW

サステナブルな社会づくりに貢献するサブスク市場。今注目すべき3社独占対談

by STYLE it.編集部

ここ数年で、定額料金でサービスを利用するサブスクリプションサービスが増えてきています。音楽のストリーミング配信サービスやレンタルサービスなど、インターネット社会では切っても切り離せない存在です。今回は、そんな数あるサブスクリプションサービスの中でも注目を集めている【株式会社クラス】【ラクサス・テクノロジーズ株式会社】【株式会社Crunch Style(クランチスタイル)】の3社の代表3名に、各社のサービスを通して感じた消費行動の変化や、サステナブルな社会づくりにおけるサブスクリプションの役割などについてお話していただきました。

(L→R)

代表・久保裕丈さん
CLAS(クラス):1ヶ月から交換が可能で、必要なときに必要な家具や家電などを利用できるサービス

代表・児玉昇司さん
Laxus(ラクサス):世界中のラグジュアリーブランドのバッグを月6800円で使い放題できるサービス

代表・武井亮太さん
Bloomee LIFE(ブルーミーライフ):お花屋さんが選んだ季節のお花が毎週末ポストに届く、日本初の”お花の定期便”サービス。

コスパのよさだけじゃないサブスクの魅力

─ 早速ですが、自社のサービスのユーザーなどから消費者の行動はどのように変わってきたと感じますか?

久保さん(以下敬称略):CLASのユーザーを見ていると、モノを持つことに対しての抵抗感を持っている方が多い気がします。所有することって、メンテナンス・廃棄や売却などすごく手間がかかる。そういうモノがサブスクリプション化している気がします。なので、時代背景としてもっと身軽に生きたい人が増えたのかなって。

児玉さん(以下敬称略):Laxusのユーザーの中には、しっかり稼ぎながらもLaxusを利用したりシェアハウスに住んだりしている方がいるんです。お金がなくてシェアを選んでいるのではなく、「サスティナブルな生き方がかっこいい」といった価値観が広がっているんだなと思いました。

久保:そういった方増えてきましたよね。僕が想像していたよりもはるかに早いスピードで、モノを持たない生活やサステナビリティへの意識が高まってきていると思います。

─ 意識の変化だけでなく、それぞれどんなところがサブスクの形態に適していると思いますか?

久保:お客様の趣向もそうなんですけど、家具ってそもそも耐久性が高くてリペアすればほぼ新品同様に使えるんですよ。且つトレンドの移り変わりも少ない。なのでCLASとしては、売り切ってしまうよりも、サブスクとして家具を循環させた方がコスト構造がよくなって、その分お客様に還元できます。トレンドの流行り廃りがないところでは、最終的にお客様にプライシングやサービスレベルの部分でメリットを提供しやすかったり、ブランド志向が薄いのでCLAS自社家具も受け入れていただけるので、安価で品質の高いモノを提供できたりするところが家具ならではかなと思います。でも、バッグって色々な物を使いたいという欲求があると思うんですけど、その辺はどうなんですかね?

児玉:普通の人は、本当はいろんなバッグを使いたいけど、高いから目を瞑って「これでいいか」と妥協しちゃうんです。買うという行為は使えるようになるための手段なので、その手段をサブスクリプションを通して増やしている感じです。

久保:なるほど。今、所有することの意味やステータスがどんどん薄れてきているじゃないですか。今後もその傾向は続いて行くと思っていて。例えば、家具のブランドはたくさんあるけど、日本人ってあまり家具のブランドを知らないんですよ。バッグと違ってロゴが入っているわけでもないので、より持つ意味がなくなってきている気はします。

─ モノを持つ・持たない以外の部分でいうと、他にどんなところに需要があるんですか?

久保:意外と高齢の方にも使っていただいていて、最高齢だと今70歳くらいのお客様で月1万円くらい利用してくださっている方もいらっしゃいます。ご利用の家具がサイズ的にあまりしっくりきていなかったのですが、買い替えとなると資金的にも労力的にも負担がかかるといった背景から利用してくださっています。

児玉:Laxusではインスタグラマーの方や、パーツモデルの方がよくオケージョンシーンでSNS用の写真を撮影する際に利用してくださってるみたいですね。

武井さん(以下敬称略):ユーザーは元々バッグを買っている人が多いんですか?

児玉:実は「買う」と「借りる」は共存すると思っていて。買うものは買うんですけど、例えば春に1週間だけ使いたいブルーや黄色のバッグはレンタルするみたいな。お金の問題ではなくライフスタイルを買っているんだな、と思います。男性的に考えると6800円×12ヶ月で8万なら1つバッグを買った方がお得なんですけど、ユーザーはそれよりも同じ金額で10種類使える方がいいと感じているんですよね。

武井:Bloomee LIFEでは、ご高齢の方が仏壇用のお花を飾ったりする際に利用されているケースもあります。あと、僕らが興味深く感じたのは、“家が汚くて部屋を綺麗にしたいからお花を置く人”は解約するタイミングが早く、“インテリアとして取り入れている人”は比較的長く継続されます。部屋の中との因果関係が強いみたいで、お花は綺麗でも周りが汚かったら現実に戻る、みたいなこともあるのでしょうか。

サステナブルな社会を目指したサービス設計

─ 消費者の間でも広がっている「サステナブル=地球環境の持続可能」については、サービスを想起した時点で意識されていましたか?

児玉:そうですね。2015年にサービスをスタートしているんですけど、当時はサステナブルを掲げても刺さらないしサイトの中でも隅の方に追いやられてました(笑)でもブランド品がたくさん捨てられたり燃やされている現実はあって、そこに対しての課題が根本にありました。

久保:CLASでもサステナビリティは強く意識しています。そもそも、僕自身が引っ越しのタイミングで不要になった家具を捨てる光景に直面した時に「これは絶対に間違ってるな」と感じ、家具を所有しないということは“捨てない社会”に繋がると思いサービスを想起したんですよね。CLASではお客様からの要望があっても販売はしてないんですけど、そこもサスティナブルなサービスづくりを意識しているからです。家具を売らずに循環させることで、“家具を捨てない社会”により早く近づけると信じています。

武井:お花ってそもそも10割仕入れたら4割廃棄と言われている業界なんです。それによって価格も上げざるをえなくて、高いモノというイメージが定着しています。廃棄されるお花も多く、誰も得をしない市場になっている部分に課題を感じ、Bloomee LIFEを立ち上げたので、その点では当初からサステナビリティを意識していました。

サブスクはリテラシーを高める役割を持つ

─ 各サービスがサブスクリプションに適している点や魅力的な点はどこだと思いますか?

児玉:花は、買いに行くことが面倒臭いので届いてくれるのってすごくいいですよね。家具に関しては引っ越しのタイミングで自分自身が直面したので、CLASのようなサービスはいいなと思います。でも、ユーザーってそういうサービスがあることを知らないんですよ。戦ってる相手は競合他社ではなくて、マインドセットなんじゃないかって。サービスのリプレイスはやりやすいんですけど、今までなかったマインドセットを浸透させることって難しくて。

久保:そうですよね。花も、そもそも選び方や買う場所もわからなかったりするんですよね。市場のリテラシーがあまり高くないところに市場を形成した場合、サービスを利用したユーザーのリテラシーが高まり、後々自分で選んで買いに行くという人も出てくるかもしれない。市場の底上げをするという意味においても、Bloomee LIFEは魅力があるんじゃないかと思います。

武井:実際に、サービスを利用されている方も、80%くらいは定期的にお花を買うことがなかったお客様層なので、「定期的にお花を購入する」という、その市場を作っていくところからはじめています。

久保:それでいうとLaxusも一緒ですよね。これまで高級バッグに触れてこなかった方々が、月6800円で挑戦したり満足感を得られたり。CLASでは洗濯機やベッドを借りる方が多いんですけど、その人たちは今までコインランドリーを利用していたり、布団を敷いていたんですよね。あった方が便利なのはわかってるけど、なくてもいいやといった方々が使ってくださるので、市場の裾野が広がっている気がします。

─ 買うほどではないけどあったらいいな、というところですよね。

久保:ですね。よく、サブスクリプションはメーカーやブランドの市場を喰っていく存在だと言われるんですけど、実際は逆で。使う頻度や自分の生活にフィットしなかった場合のリスクを考えて購入しない方々にも、ちゃんとユーザー体験を提供できるので、裾野を広げている存在だと思うんですよね。

児玉:世界の話でいくと、パリでは2030年に売れ残りを捨ててはいけないという法律ができるんですよ。捨てちゃダメとなるともう借りるしかないですよね。家具って選ぶのは楽しいけど買ったりするのはもはや苦痛(笑)。

久保:本当そうなんですよ。家具って買い替える頻度が少ないので手間を忘れちゃうんですけど、選んで、運んで、組み立てて、捨てることまで考えるとなかなか苦痛。プライシングの面だけでなく、蓄積されたユーザーペインをきちんと解決してモノの価値を届けることがサブスクリプションの使命だと思っているんですよね。

武井:お花も花屋さんに行って選ぶという行動が、買いなれない人からすると難易度が高いんですよね。そもそも知識がないですし、知識があってもそれを毎週やるのは大変なので、完成品が届くというところが好評だったりしますね。

─ ITや情報リテラシーが高くない方に対して工夫されていることはありますか?

久保:CLASではカスタマーサクセスチームに力を入れています。ご高齢の方も利用されているので、電話注文がくることもあるんですよ。手続き自体はwebから行なっていただかないといけないので、電話で「この画面見えてますか」なんてやりとりをしています。ご高齢の方にとっても意味のあるサービスだと思うので、ITリテラシーが高くないからという理由でユーザーを切りたくなくて。サブスクリプションとお客様の関係値をどう構築していくか、感動体験を提供し続けられるかが大切なので、今はアナログな力をミックスしながらお客様との関係性を繋げるところにどれだけ力を込められるかを大切にしています。

児玉:僕はとことんシンプルになるようにこだわりました。ユーザーって、住所入力のところで離脱することが多いので、入力をせずに写真を送るだけにしたり、プランも1プライス1メニューにしたりと、あまり考えなくても利用できるようになっています。

武井:Bloomee LIFEも、どういうモノがどんなサイズ感で届くか分からなかったり、どうやって届くのか分からないという不安があると思うので、そこをクリアにするというところはこだわっていますね。届くまでのスピード感やポストに届くことなど、細かいところまで深く分かりやすく表現するようにしています。

児玉:確かにそれだとITの中にもアナログさを感じさせられますね。

環境問題の解決や市場リテラシーの底上げを目指す

─ それぞれサービスの力で変えたいことや挑戦したいことはありますか?

武井:花は嗜好品になるので、正直なくても生活はできます。でも、必要ないからこそ存在する意味があると思うので、廃棄を無くしながら適正価格で“花がある生活”の感動体験を提供していきたいと思っています。

児玉:Laxusではずっと借りられ続けている鞄もあれば、すぐ返ってくる鞄もあるんですけど、そういった“売れたけど実は使われていない商品”が分かったり、バッグに付けたECチップから取れたユーザーの行動データ(※許諾を得られたユーザーのみ)が分かったりしているので、蓄積したデータを活かしながら、モノを捨てなくてすむ世界を目指していきたいです。

久保:僕は大きく分けて2つあって、1つはサステナビリティという側面において家具を捨てない、所有しない社会を実現したいです。それだけで年間数100万トンのゴミが減るはずなんです。もう1つは、ユーザーペインの塊である家具をサブスクリプションという形態を通して解決し、家具に触れるという体験をより増やして、家具業界の視野をより広げていきたいですね。

 

CLAS:https://clas.style/

Laxus:https://laxus.co/

Bloomee LIFE:https://bloomeelife.com/

 

取材協力:株式会社GO

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