2019.10.02 COLUMN

話題の“アパレル模倣問題”実際どこからがパクリ?

by 深地雅也

こんにちは、深地です。

ここ数日、Twitter上を賑わせているブランドのパクリ問題。インフルエンサーが「デザイナー」と名乗っていたにも関わらず、類似商品が散見され、炎上したという経緯でしょうか。

 

 

今回の件はちゃんと悪意があったような気はしていますが、商品の模倣問題はアパレル・ファッション業界において切っても切れない関係でしょう。

本物との差はどこ?フィリピンで見た、偽ブランド品マーケットの実情

アジアのマーケットには、掃いて捨てるほどの模倣品マーケットが広がっているというのは先日も書きましたが、故意的でなくても類似商品が出回ってしまう事はしばしばあります。アパレルに生息する方々からしたら「今更?」という案件なのですが、そもそも、色にしても生地にしても、同じトレンド情報をブランドは追いかける訳ですから、ある程度似通ってくるのは当然と言えば当然です。では、「パクリ」かどうかの線引きって一体どのラインなのか、類似商品が店頭に並ぶケースをそれぞれ見ていきたいと思います。

 

同じODM業者を利用するケース

Parker Burchfield

商業施設を歩いていて、同じデザインなのにタグだけ違う商品を見た事はありませんか?1つの商業施設内でも頻繁に目にしますが、これ、多くのアパレル企業がODM業者から商品を仕入れているから起こる事なのです。

ODMとは…Original Design Manufacturingの略語で、委託者のブランドで製品を設計・生産すること。

ODMとは、ざっくり言いますと業者が製品を作り上げてくれて、ブランド側はブランドネームのタグだけ付けるって事です。SPA(製造小売業)と名乗ってるくらいだから、自社で全ての商品を製造して販売していると思われる方も多いでしょうけど、有名な大手アパレルでも普通にODMは利用しています。仕入れ元がかぶっちゃうと、販売側も知らず知らずのうちに「パクリ」認定されてしまう恐れがあるのが怖いところ。昨今では、Web上で偽物が晒される事もよく見かけるのですが、ソーシャルメディアが発展したからこそ起こる事象ですね。

 

オマージュって何だ?

オマージュとは「敬意・賛辞」という意味で、だからこそ自社の製品に丸々採用する、という感じでしょうか。

 

Balenciaga が IKEA のショッピングバッグにオマージュを捧げたハンドバッグを発売

上記の件などはオマージュに当たるようですが、線引きが非常に曖昧ですね。こっそりではなく、またブランドにとって好影響であれば許されるんですかね。市場も食い合わないからこそというのもあるかもしれません。

 

完全コピーでも経済合理性があると歯止めがきかない

日本発「ザ・リラクス」が巨大SPAブランド「ザラ」に勝訴 「ザラ」がコートの形態を模倣

ファストファッション最大手ZARA、イタリアのディーゼルを擁するOTBグループに製品模倣で訴えられ敗訴

 

ZARAの店頭に行けばすぐわかるのですが、世界中のあらゆるブランドの模倣が目立ちます。そのせいか上記のようによく訴えられ、敗訴しているのですが、それを差し引いても経済合理性があると判断した場合、歯止めがきかないのではないかと。日本国内のブランドでもmamesacaiを模倣したようなデザインはよく見かけますし、Twitterで「ブランド パクリ」で検索すると、日々、山のようにブランドの模倣が晒されています。特に日本は知財の意識が低いのか、こういった事例は枚挙に暇がありませんが、完全なコピー商品でない限りは訴訟にまで発展している事も稀です。

 

スナイデルなどの模倣商品を販売した疑いでGio代表を逮捕

(完全コピーはこちらがわかりやすいかと。)

こういった事を未然に防ぐ為にも、ブランド運営側が遵法精神を持つことが大前提なのはわかるのですが、模倣される側の姿勢も重要だと思うのです。

 

 

筆者が新卒で先輩社員から教えてもらい、今でも強く記憶に残っているのが「偽物と戦う」事の重要性なのですが、海外のラグジュアリーブランドを見ていましても、ここの意識が強く、訴訟や警告文の送付などの事例をよく見聞きします。もちろん、ラグジュアリーが他所のブランドのデザインを取り入れていないかと言われると、全くゼロという訳ではないでしょう。当然、どのブランドにも似たようなデザインの物はあります。これだけデザインが出尽くしていれば、故意的かどうか関係なく、絶対起こりうる事なのです。

国内では未だに、他所のブランドの商品の写真を撮影してきて、それをそのまま工場に持っていき、同様の商品を作ってほしいという依頼をするブランドも数多くあります。そのような意識から改革し、皆が一様に「偽物を許さない」という姿勢を持つ事こそが、ブランドを自衛し、また付加価値を高めていく事に繋がるのではないかと。

これで模倣が根絶されるとは思いませんし、またどこかで同様の事例が発生してくるでしょう。それでも、ほんの少しでもブランドに触れ、笑顔になる人の数が増えるなのなら、ブランドが戦い続ける意味はあるのではないでしょうか。

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