こんにちは、深地です。
普段から様々なブランドの動向を追っている筆者ですが、ブランドビジネスを勉強するならラグジュアリーの施策は非常に参考になると思っております。なんせ【GUCCI(グッチ)】の直近の通期決算では営業利益率39.5%ですからね…。どれだけ付加価値高いんだ。
そういや今日の記事でGUCCIを調査してたんだけど、今期の営業利益率が39.5%っていう意味わからん数字叩き出してて何度も見返してしまった…。
/ GUCCIのここ三年くらいの業績を調査してみた https://t.co/YrNvQBjHmb
— 深地雅也 (@fukaji38) February 18, 2019
一瞬粗利率かと勘違いしそうになりましたよ。ミケーレ恐るべし…。
ラグジュアリーの代表格と言えば、多くの方々の認識ではヴィトンにシャネルにエルメスあたりが出てきそうですが、
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最近、LVMHの会長の資産が世界2位になったと報道がありました。資産11兆6300億円ですって。小さい国の国家予算くらいありそうだ…。
LVMHの中でも、一番の売上規模を誇るのが皆様ご存知のルイ・ヴィトン。【Forbes(フォーブス)】のブランドランキングでもファッションカテゴリーでは毎回トップに位置するので、「ブランド価値」という点でいうとお手本にしていい事例だと言えます。
筆者もヴィトンの施策はずっと観測しているのですが、先日雑誌【PEN(ペン)】にて特集が組まれていました。
内容は、アーティスティックディレクターのヴァージル・アブローのインタビューと、ルイ・ヴィトンの過去からの歴史が記載されています。ラグジュアリーブランドの特徴の一つとして、「コンセプトに忠実」である事と「ブランドの歴史」を至るところで認知させる取り組みが目立ちます。このPENでの特集もその一つなのでしょう。その中でも特に気になった部分がありましたので抜粋してご紹介したいと思います。
コンセプトに忠実
特に面白いと思ったのが、ルイ・ヴィトンが現在に至るまで100タイトル以上の書籍を出版しているという点です。内容もコンセプトに沿った「旅」に関わるものとして。そして初めての出版が何と1894年。今から100年以上前に2代目当主であるジョルジュが「Le voyage」というトランクに関するエッセイを出版。それから現在でも、アーティストやフォトグラファーの視点を通して様々な国・街・地域の魅力を伝えるトラベルブックやフォトアルバムが刊行されています。
本というメディアを使ってルイ・ヴィトンの「旅」というコンセプトがユーザーに浸透する。100年も前からこのようなメディア戦略を考えていたかどうかはわかりませんが、ブランド価値を押し上げる結果となっているのが非常に面白いです。
歴史を語る
特集の中で年表を用いて初代ルイ・ヴィトンの頃からざっくりとブランドの沿革・歴史が記載されています。起源は「高級注文服の父」と呼ばれたシャルル・フレデリック・ウォルトのドレスを梱包する為の職人として始まり、そこから貴族御用達のトランク製造業者になったという経緯。(ここの部分だけ記載が無かったのでちょっとだけ補足)
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歴史を語ると言えば、2016年に開催された歴史館も同様の役割だったかと思います。「これぞブランディング」というお金の掛け方。開催されてた頃は、山手線の電車の中でもバンバン広告出てました。こういった取り組みこそがブランドの利益の源泉である事をよく理解しているのでしょう。
当然、Webサイトを見ても歴史が語られています。語られる歴史があるという時点で、ブランドには価値があるのでしょう。
今回のPENの特集のように書籍の場合もあれば、Webサイト、時には館まで用意と、様々なタッチポイントで見られるコンセプト・歴史・ストーリーのプッシュ。トップブランドがここまで徹底しているのは頭が下がる思いです。逆にここまで徹底しているからこそブランド価値が高いとも言えますが。
ブランドが「旅」をテーマにするケースは業界を見渡していてもしばしばあります。所得が高い層はリゾートによく行きますし、購買のきっかけにもなりやすい。ブランドが発信するヴィジュアルも、「旅」をテーマにすればロケーションの設定により製品をまた違ったものに見せる事も可能です。しかし、トランクケースが起源であり、尚且つ「旅」というコンセプトに沿って、ここまで徹底して作り込まれたコンテンツを出されると、他のブランドは追随できないでしょう。
こうして見ると、ブランドビジネスは「理論化」できても、同様の事を実践したところで「再現性」が無い事がわかります。ブランドのコンセプト・歴史は唯一無二であり、それに沿ってコンテンツを作り込む事がどれだけ重要なのか。今回のPENはそんな、ブランドとして大切な事を思い起こさせてくれる一冊でした。(アフィリエイトではございません)