2019.08.02 INTERVIEW

夫婦だからこそできること。繊細なテキスタイルが魅力のブランドCHONO

by STYLE it.編集部

JAPAN MADEにこだわり、繊細で素敵なテキスタイル(加工前の布や織物)を使用したプロダクトを作成しているアパレルブランド【CHONO(チョノ)】。オリジナルのテキスタイルや、ロマンティックな世界観がファンを集めているCHONOはデザイナーの中園わたるさんと、販売やカスタマー部分を担当する中園杏子さんの夫婦お二人を中心に運営されています。

CHONO

シーズンテーマに沿って作りだされたCHONOオリジナルのテキスタイルは、子供っぽくなりがちな総柄のイメージをガラッと変えてくれるデザイン性の高いものばかり。こだわりを感じる素材やシルエット、お客さんのことを第一に考えたプロダクトを発表しているお二人にブランドの立ち上げのきっかけやどんな思いを込めてプロダクトを作っているのかお話を伺ってきました。

日本の繊細かつ確かな技術力を持つ職人の方々の手を借り、生み出されるオリジナルファブリック。

JAPAN MADEを中心にした丁寧なものづくりを通して、皆に愛される新しい価値を生み出します。

CHONO / 19AW

寿命のない服が作りたい

─ ブランド立ち上げのきっかけを教えてください。

わたるさん(以下・わたる): 元々シルクスクリーンを使った作品作りに興味があって、美術館で行われているワークショップに参加したことがきっかけです。本格的に取り組みたいと思い、自宅の近くにアトリエも作り作品づくりをしていました。そこで、昔から挑戦したかった洋服の生地のプリントにも挑戦したんですけど、設備面・技術面からなかなかうまくいかず…。プリントを極めるのは難しいと感じたので、プリントはプロの職人さんにお任せして僕はデザインをしようと思ったことがスタートです。

さらに、昔ながらの技術を使って現代風の洋服に落とし込みつつ、日本の産地や職人さんへのリスペクトの思いを込めてJAPAN MADEを掲げたいと思ったこともきっかけの1つです。

─ コンセプトに込めている思いはなんですか?

わたる:コンセプトは「imagine fabrics」とあるように、テキスタイルを核に考えています。何故かというと、これまでのファッション業界の経験の中で、今のファッション業界に対する疑問がたくさんありまして。その1つがファッションの寿命が短いことでした。例えば、新しい商品を発売しても、すぐセール期になってしまい通常の販売価格で売られる期間がたった2ヶ月程度しか無い場合も少なくありません。それ以降は過去のものとしてセール品扱いとなります。もう1つは、シーズン中に評価の高いデザインが作られても、次のシーズンにはまた新しいものをリリースしないといけないという概念が強いこと。もちろん鮮度の高いものを提供することがアパレル側の使命だとは思うんですけど、でもそれは長い目で見るとブランドにとってプラスではないと感じまして。

そういう考えの中で素晴らしいと感じたのは、marimekko(マリメッコ)。昔つくられたunikkoという柄が、未だにmarimekkoの象徴として残り続けているんですよ。それだけ多くの人に柄が愛されているということは、ファッションというカテゴリーでも寿命という概念の無い考え方ができる。だからこそ僕はファブリック(布製品の総称)を中心としたブランドとして、いいものを残したいという思いに至りました。

公私混同の夫婦運営

─ 夫婦でブランド運営をはじめたきっかけはなんですか?

わたる:最初は僕1人で生地や洋服の作製から、販売方法を考えるところまで行なっていたんですけど、だんだんと手が足らなくなってきて(笑)当初から少し手伝ってもらってはいたんですけど、途中から本格的に一緒にやるようになりました。

杏子さん(以下・杏子):元々私は洋服を通じて誰かに伝えるということに魅力を感じて、アパレル会社で販売・PRに携わっていました。そういった経験を積み重ねながら彼のことを横で見ていて、「こんなに近くにいる人が伝えたいと思っていることをお客さまに伝えられるってすごくいいなあ」って単純に思ったんですよね。ブランドの在り方や魅力、なぜ日本で作るのか、それをどのようにお客さまに伝えていくのか、ものづくりへの強い思いがあっても伝えることって意外と難しくて。それを私がやれることだと感じ、一緒にCHONOをやろうと決断しました。

─ 夫婦でブランドを運営するってどんな感じなんですか?

杏子:最初は公私混同になることにすごく抵抗があって、携わることを躊躇していた時期もあるんですけど、夫婦だからこそ率直な意見を言い合えたりしますし、私たちはずっと仕事の話をしてますね(笑)根本に洋服が好きという思いや、やりたいことが合致しているので、それを自然に生活の中で共有できているのはブランドの強みだと思います。そこを含めてブランドを愛してくださっているお客さまもいらっしゃるので、大切にしていきたいです。

わたる:他の家庭とは少し違って生活の軸が仕事になっているので、機屋さんや縫製工場に行くついでに時間を作って観光したり、旅行に商品のサンプルを持って行って撮影したりしているんですよ。子供も連れて現場に向かうことも多々あります(笑)。

杏子:息子がおりまして、私たちのこんな公私混同に仕事する姿を見せるか迷っていた時期もあるんですけど、最近はこの環境を活かしていろんな経験をさせてあげたいと思っています。

─ ブランドに関する意見などは言い合ったりするんですか?

杏子:かなり言い合いますね(笑)

わたる:従業員やスタッフ相手だと「ここまでやってくれてるし…」と思って遠慮しちゃう部分もあるんですけど、思いついたことを瞬間的に言えるし、議題をすぐ壇上に上げることができるんですよ。その上で、どう進めるかを話し合ったりします。時にはお互い熱が入りすぎて、喧嘩に発展することもありますね。

19AWのテーマは「Frozen」

─ プロダクトを作る上で譲れないことやこだわりは?

わたる:いわゆるファブリックといっても、視覚的に飛び込んでくる、柄物のような意匠性の強いものを作っています。いわゆる柄物を着ている人って、街中を見ても10%未満ですよね?マーケットとして小さいというものが大前提なので、いかに女性が品良く着こなしやすいかが、ポイントとなります。以前作った洋服の中に、服や柄自体はすごく可愛いのに、お客さんが鏡に合わせてみたら全然似合わない。この服は似合いにくい。と感じたことがありました。女性が合わせたときに、意匠性のある服なのに、自身が持つ女性像に溶け込む服であること。より美しく見えるかどうかが判断基準としてすごく大事だと実感しました。尖りすぎず、でも世の中にまだないような刷新的な表現方法であったり新しさを盛り込んでいくバランスを大事にしています。

─ デザインのインスピレーションはどこから?

わたる:今回のAWでいうと「氷の花束」というイギリスの童話を元に「Frozen」というテーマで作成しました。童話の中では真っ白な銀世界の情景であったり、窓ガラスについた霜が花になっているという表現があるんですよ。そこから、花柄で、氷や霜のような表現ができないかな、と膨らませました。いわゆるimagineに当たる部分はテーマを軸にしながら、機屋さんで見ている技術と掛け合わせて作っているようなイメージです。

杏子:隣で見ていても、いつも「どこから出てくるんだろう?」って思っています。しかも、毎回イメージがロマンティックなんですよ。多分、一緒に旅行に行ったり、写真や映画を見たりする中から生まれているんだとは思うんですけどその観点にいつも驚かされます。毎回具体的に1つテーマがしっかりあった上での世界観ですので、お客さまにも伝えやすいですね。

わたる:テーマを決めるときは本当に頭が痛くて(笑)テーマとテキスタイルさえ固まればプロダクトもすぐにできるんですけど、生地を作るところでいつも苦戦してます。

こだわりのDescriptive Label(品質表示)

─ 商品において大切にしていることはありますか?

わたる:「オシャレな日常着」であることで、ブランドの商品のほとんどを家庭洗濯できるようにしています。オシャレを楽しんでもらうための第一歩として僕らのブランドを取り入れて欲しいので、気軽に買いやすかったり、買ったら長く着たくなるような服になって欲しいし、洋服も喜ぶじゃないですか。なので、僕らが作りたいものというよりは、お客さまのライフスタイルに寄り添ったところに力を注いでいきたいです。

また、品質表示の部分にも特色を持って打ち出しています。普通は組成や洗濯方法、生産した会社などが記載されていますが、それとは別に「生産者証明」として1着の服を作るために関わってくださった方を全て印字しています。アイテムや生地ごとに縫う人や生産者が異なるので、一通り服を作るためにこれだけの人の思いが込められていることを明示することで、お客さまが洋服を愛してくれたり、他のブランドを買うときの意識まで変えられたら世の中の流れも変わるんじゃないかと思うんです。また、これだけのみなさまの力をお借りしてこそののブランドだと感謝の想いも込めています。

─ 実際にお客さまからの反応はいかがですか?

杏子:1度世界観を好きになってもらえると、リピートしてくださる方が多いですね。気軽に洗濯ができたり、着心地がよかったり、見た目の可愛さだけじゃないところにご納得いただけてるのを感じているので、これからも続けていきたいです。

生活に関わるものをつくりたい

わたる:元々ライフスタイルブランドへの憧れが強くオリジナルファブリックで衣食住を完結したいんですけど、僕らの企業規模ではできることが限られています。なので、洋服以外の部分のプロフェッショナルな企業さんと協業して、インテリアや食器など生活にまつわるところにCHONOのファブリックやデザインを落とし込んでいきたいです。

杏子:現状、がま口ブランドさんやシューズのブランドさん、ドールチャームブランドさんとはご縁をいただいてコラボをさせていただいてます。私たちのものづくりに共感いただいたり、ファブリックの魅力を共有頂きながらのお取り組みで、そういった広がりや出来上がった商品の可愛さにも毎回感動をいただいています。

中園:やはり私がテキスタイルを職人にお願いするように、専属だからできる技術力と掛け合わせることが、僕らがファブリックやデザインを提供した方が最終的にお客さまの手元に届くときにいいものになります。競合することで、より良きものが生まれるようなコラボを望んでいます。

CHONO 公式HP:https://chono.me/index.html
Instagram:https://www.instagram.com/chonofabrics/


とっても温かくて笑顔が素敵なお二人。お話をする姿からも、お互いを尊敬して頼りにしていることが伝わってきました。そんなお二人が強い思いを持って運営しているブランドだからこそ、お客さんに愛されるブランドになっているんだと思います。ロマンティックな世界観や、年齢問わずに着られる総柄のアイテムを、是非チェックしてみてください。

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