2019.07.10 COLUMN

本当のサステナビリティってなんだろう?改めて考えたいファッションのこと

by 深地雅也

こんにちは、深地です。

最近、ファッション業界でも一番のバズワードになっていると言っても過言ではない「サステナビリティ」。意味は「持続可能性」という事で、主に環境への配慮を謳った施策が多いようですね。代表格としてはH&MGUCCIあたりはサステナビリティを数年前から掲げ、様々な施策を打ち出しています。先週もちょっと話題になったのが、

ファーストリテイリングがショッピングバッグを紙袋に切り替え、2020年内にプラスチック包装85%削減へ

ファーストリテイリングのプラスチック包装削減。この手の施策は今年に入ってから特に目立つようになっています。

ブランドの顔「お買い物袋」のメディア化がエコに繋がる?

 

こちらに関しては以前にも書きましたが、H&Mやマッシュスタイルラボ、ストライプインターナショナルも同様の施策を打ち出しています。ビニールバッグの廃止は国内アパレルでもトレンドのようです。

こういった動きはもちろん素晴らしい事ですし、やらないよりはやった方がいいのですが、そう簡単に持続可能にならないのがファッション業界のむずかしいところ。そして、良い面ばかりがメディアで報じられていて、大切な部分が抜け落ちており、誤解されている点も多々あるのではないかと思うのです。そこで本日は、そんな「サステナビリティ」の良い点、悪い点を簡単に解説したいと思います。

 

レザー廃止


NordWood Themes

動物愛護の観点からレザーに反対する人やブランドが一部では存在します。しかし、仮にレザーを廃止してもレザーの原料になる原皮は毎日生産されています。原皮は食肉用に屠殺された牛、豚、羊、馬などから生産され続けていますので、食肉がなくならない限りは原皮も無くなりません。ですから、今レザーを廃止すると原皮は捨ててしまうしかありません。そういった意味では、エキゾチックレザー廃止は理にかなっていると言えます。

エキゾチックレザーとはクロコダイル(ワニ革)・パイソン(ヘビ革)・オーストリッチ(ダチョウ革)などの希少性の高く独自の模様を持つ皮革の総称。

ファーフリー


Patrik Inzinger

レザーと同様、ファーも動物愛護の観点から廃止するブランドがかなり増えてきています。これはラグジュアリーでも多く見られる兆候ですね。しかし、こちらは冒頭のファーストリテイリングのプラスチック削減と真っ向から対立します。何故なら、フェイクファーは石油製品ですから土壌汚染の原因になります。あっちを立てればこっちが立たずですね。選択って難しい

アパレルは石油業界に次いで2番目に環境を汚染している?

最近は上記のような事をよく耳にするようになりましたが、大きな原因の一つがやはりプラスチックの生産。そしてその多くはポリエステルのような化学繊維です。アパレルでよく使われている化学繊維をあげてみますと、

・ポリエステル

・ナイロン

・アクリル

・ポリウレタン

と、皆様もよく見知った素材かと思います。これらは安価で丈夫、機能性にも富んでいるので大量に生産されています。環境汚染・大量生産を否定するとなると、化学繊維を使用した製品を削減する必要もあるでしょう。

天然繊維は問題無いのか?


Trisha Downing

では土に還ると言われる天然繊維はどうなのか?と言われますと、こちらも問題はあります。綿(コットン)は栽培する際に、農薬・化学肥料を大量に使いますので土壌汚染に繋がります。そういったものを一切使わず栽培する「オーガニックコットン」も注目されていますが、そもそもコットンを栽培するには大量の水を使用しますから、これも環境に負荷がかかってしまいます。

と、代表的なところを見てきましたが、そうなると解はウールしかないのか?という話になります。しかし、ウールも大量に生産するとなると、羊を飼う為の広大な土地と餌が必要になります。これも捉えようによってはエコと言えるか不明です。何が言いたいかと言いますと、結局サステナビリティに対する完璧な答えはまだこの世に存在しないという事です。個人の捉え方によってどれを優先するかは自由ですが、エコと動物愛護は交わりませんし、エシカルと大量生産もあっちを立てればこっちが立たず。衣料品の廃棄問題も、大量生産していないラグジュアリーブランドの方が問題が大きいです。身も蓋も無いですが、そもそも環境保全を唱えるならオシャレするな!ってなりかねません。何を持って「サステナビリティ」なのか、今一度考えてみたいものですね。

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