2019.06.27 COLUMN

未来のためにすべきは、第3の収入源となり得る物流への投資

by 小橋重信

こんにちは、物流コンサルタントの小橋です。
物流について学んだことのある人には、この「物流が第3の収入源」と言う言葉を聞いたことがあるのではと思いますが、普段 物流に関わっていない人に向けて物流の大切さを知ってもらうために、この話をしたいと思います。

物流は第3の収入源


chuttersnap

第3と言うくらいなので、第1と第2があるのですが、収入を上げるために必要なことの第1は当然「売上」です。企業はこの売上をあげるために、商品開発をしたり、営業活動をしたりしています。そして、第2は「原価」。売上を上げるには、原材料や人件費などが必要であり、その原価を下げることは会社として収益を上げることになります。会社が儲かるためには、売上と原価を差し引いた金額が多く残すことが大切なのです。

ここまでは、商売の基本なので誰もが理解していると思うのですが、第3の収入源として「物流」があげられている理由について説明いたします。

■ 見落としがちな、物流コスト

売上の中には、原価だけでなく営業活動にかかる販管費や物流費がかかります。物流費を売上からみると、業界によって多少は違いますが、売上に対する物流費率は5%ほど。100億の企業とすると5億の物流コストになり、物流費を頑張って10%削減することは、100億のうちの5千万分の削減効果になります。ここで重要なのが、物流費を5千万上げた効果が、会社の営業利益に直接影響することです。

繰り返しになりますが、会社がどれだけ儲かっているかは、売上から原価や販管費や物流費を差し引いて最後に残った営業利益で判断します。その営業利益に直接影響するのが物流費。営業利益率が3%の会社だとすると売上100億の3億が営業利益となり、5千万の物流費削減は、営業利益を3億から3億5千万に引き上げることになり、0.5%の営業利益改善に繋がります。そして、この物流費削減の5千万ですが、この会社の営業利益率が3%の場合には、売上にすると5千万÷3%=約16億6千万の売上を上げるのと同じ効果があります。つまり、5千万×33倍=約16億6千万です。売上にすると33倍分の効果となります。

■ 今後、物流費が上がっていく

物流費が第3の収入源と言われるのは、その効果の大きさからなのですが、ここで問題なのは、その物流費が今後下がる要素よりも上げる要素が高いことです。

インターネットでの物販が増えており、EC物流の場合は、小口での個人向け配送費がかかるため、平均では12%とも言われています。つまり、通常の2倍以上の物流費がかかっており、ECでの売上が増えてくると物流費は間違いなく上がってきます。さらに、労働人口の減少などもあり、配送だけでなく物流倉庫も同様に値上がりが予想されます。その場合、先ほどの数字で言うと、物流費が5%上昇すると売上16億6千万が喪失されることになります。アパレル企業であれば、売上トップクラスのお店の売上がなくなるのと同じとなります。そう考えると恐ろしくないですか?

しかし、間違いなく物流費はあがります。これは物販をされているすべての会社にこれから起きることです。これまでと同じことをしていたら、物流費がその企業の足元から利益を奪い取っていきます。ではどうしたら良いのでしょうか。

「改善」と「改革」


Andy Abelein

物流費を削減するための改善活動には、2つやり方があり、「改善」と「改革」です。

日々の業務を見直して、無駄なところはないかをひとつずつ潰していく活動が「改善」。「改革」は、物流そのものを商品の流れから抜本的に変えていく活動になります。「改善」はこれまで10人でやっていたことを9人でできるようにする活動で、「改革」は10人を5人以下にする活動になります。さらに「改善」は継続することが重要ですが、「改革」は一発勝負の大掛かりな投資を必要とすることが多いです。

最近、物流現場にロボットやマテハンなどの大型機械が導入された話をよく聞きますが、これは物流における「改革」を目指した活動で、お金のある大手企業が金に物をいわせてというよりも、これからの未来にむけて生き残りをかけての挑戦と見ていいと思います。

ここで重要なのは、物流の大切さを理解して、物流そのものを根本から見直し、物流を事業戦略や、経営戦略と同じように物流戦略を考える必要があります。以前楽天などのECサイトで売上上位に表彰されていたスィーツの会社が、EC事業の撤退の記事を見ました。物流費の高騰で、売上が上がっても収益を確保できないことが理由となっていました。それだけ配送費の高騰はインパクトが大きいのです。

皆さんの会社は大丈夫でしょうか? 物流危機に備えて未来への投資を始めていますか?物流への課題を明確にして、これからの時代の変化に合わせて、物流のあるべき姿を今から準備しておいてください。手遅れになるまえに…。

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