2019.05.24 COLUMN

物流からみた良い会社と悪い会社の見分け方*アパレル編

by 小橋重信

はじめまして、物流コンサルタントの小橋です。これまで多くの企業の物流をお手伝いしてきました。その経験から、業績が良い企業と悪い企業の違いには「物流」が深く関係していると感じたので、少しお話したいと思います。

新卒でアパレル業界に就職し、10年働いた後IT業界に転職。現在は株式会社オーティーエス 執行役員マーケティング部長を勤めながら、物流コンサルタントを行う。

 

物流と商流


NordWood Themes

みなさん「物流」と言う言葉をなにげなく使っているかと思いますが、「物流」の本当の意味はご存知でしょうか?「物流」とは物的流通の略で、モノの流れを示し、商品を消費者に届けるまでの時間と空間を意味します。「商流」は営業等販売活動や代金回収活動の流れを指し、「物流」と「商流」は車の両輪のように、両方が同時に稼働しないと同じ場所をグルグルと回ってしまいます。

■ ロジスティクス=経済の血脈

ビジネスにおいて、マーケティングなどの営業活動や、販売計画などの「商流」については、いろいろと議論されることが多いのですが、「物流」については、安ければいいと考えている経営者も多く見られます。しかし、それがビジネスにおいて重大な落とし穴となってしまうのです。また、「物流」は「ロジスティクス」と呼ばれることも。「ロジスティクス」は、「兵站」を意味する軍事用語で、戦時においてロジスティクスは極めて重要な、最前線に必要な人員や兵器や食料を切らすことなく補給・輸送し続けることを意味しています。日本が第二次世界大戦において敗北した要因のひとつが、「ロジスティクス/物流」だと言われるほど。現代においても、「物流」が経済成長を実現するための「経済の血脈」として極めて重要な役割であるため、物流視点で企業経営を考えることはとても大切なんです。

事件は倉庫の中で


Keagan Henman

冒頭に業績の良い会社と悪い会社には「物流」が関係しているとお伝えしましたが、その企業の物流倉庫の中を見るだけでも、見極めることができます。

そのひとつが「在庫」。なかでも、在庫となっている商品の金額と、販売された商品の原価金額を比較することにより、在庫商品が何回転したかを示す「在庫回転率」は、わかりやすい経営指標のひとつです。特に、アパレル商材は生鮮食品と同じく、流行り廃りが早く、SKUと言われる商品の型番も多いため、倉庫には売れ残りや残在庫が山のように積まれていることがあります。パソコンで在庫内容を把握することはできますが、倉庫で実際の在庫を見ると、リストでは見えなかった発見があります。業績の良い会社の経営者は、店頭だけでなく倉庫にも足を運び、売れると思って作った商品がどのようになっているかをチェックしに来られます。

■ 気づいた時には遅かった

私自身もアパレル会社で10年働き、上場から倒産までを経験しました。当時は会社が倒産に向かって進んでいるとは思ってもいませんでした。しかし、今考えるとその異変は倉庫に現れていました。それは、店頭での売上不振による期末返品だけでなく、毎月の数字合わせのために繰り返されていた、各取引先や店舗へ過剰投入していた商品たち。要は市場のニーズ以上のもの、もしくはニーズに合わなくなってきているにも関わらず、売上必達のために、出荷を続け、その結果 月末や期末に大量に商品が戻ってきていたのです。当時の百貨店は売上仕入以外に委託契約も多く、一度納品すると仕入が計上されることから、営業の仕事は商品を無理やり取引先や店頭に押し込んでいました。

今はSPA型のアパレル企業も多いので、数字合わせの納品は少ないと思いますが、卸先があるところは倉庫への返品の流れをみてみると、その異変に気づくことができるはず。ただ、「わかっていても辞められない」なんて会社も多いかもしれません。しかし、その負の連鎖を断ち切らないことには、会社の業績が良くなることはありません。それは、自分自身が上場から倒産までの実体験し、さらには物流会社で15年間、多くのアパレル会社の物流を見てきたからこそ断言できます。

企業の生存条件


Duy Hoang

今はテクノロジーの進化が加速度的に進んでおり、POSなどの購買データだけでなく、いろいろな行動データなどから消費者ニーズの実績を捉えることが可能になっています。消費者の方がより多くの情報をもっており、メーカーから消費者に主導権が移るといった事象も起きています。言い方を変えるとより消費者に寄り添った提案をしている企業が支持されているのです。まだ需要予測までは難しいにしても、良いものを作ったから売れる時代は終わり、消費者が欲しいものをいかに早く作り、届けることができるかが、アパレル企業の生命線になってきています。

そのような状況で、いまだに昔ながらの物流を行なっていて、倉庫には在庫が山積みになっているとしたら、そんな会社の未来はどうなのでしょうか?一度自社の物流倉庫を見に行かれてみることをおすすめします

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