2019.05.23 INTERVIEW

ものの価値が見える世界に。ライフスタイルブランドyaunnで伝えたいこと

by STYLE it.編集部

アパレル・IT業界で働く人々の働き方・想いを紹介していく連載「私のファッションスタイル」。第7回は【データ&マーケティング株式会社】を創業し、ライフスタイルブランド【yaunn(ヤウーン)】にて製造・販売を行なっている陳野友美さんにインタビュー。「普段使っている身の回りの物はどんな人が作っているんだろう。」そんな素朴な疑問から、yaunnを立ち上げた陳野さんがブランドに込めた想いとは…?

ものの価値が見える世界を作りたい

https://yaunn.jp/

- これまでの経歴を教えてください

大学卒業後、フリーランスのシステムエンジニアとして働きはじめました。2003年に楽天に入社。顧客マーケティングを始めたばかりの楽天で、データベースマーケティングの仕組みづくりに従事し、ECの直販事業統括を経て2013年に楽天を退職。転職先の企業で、格安スマホの事業立ち上げにマーケティング責任者として携わり、【Origami(オリガミ)】というスタートアップ企業ではグロースハックやマーケティング全般を担当。その後、2015年12月にデータ&マーケティング株式会社を設立しました。

- なぜ製造に挑戦しようと思ったのですか?

会社を立ち上げたときは、何の事業をやるかまだ定まっていませんでした。会社を設立し、やりたいこと・やれることを考えていたときに、アパレル業界の転換期に関する記事を読んだことと、プライベートで「自分の身の回りで使っているものって誰が作ったのか、誰がどう関わっていてどんな素材からできているのか知る術が少ないな」と思ったことがきっかけで、ものづくりと消費者をITで繋げられないかと思うようになりました。実現への第一歩として、2018年10月にyauunをリリースしました。

- なるほど。ブランドにもその思いが込められているのですか?

はい。製品の製造工程だったり関わっている人々の思いを伝え、愛着を持って長く使ってもらうことをコンセプトにしています。大量生産・大量消費の時代で、ものの価値が見えにくくなっている部分を、見えるようにしていきたいという思いもあります。価値が見えるようになると、安ければ安いほどいいではなく、その価格がついている理由が分かるようになると思うんです。

デザイン性・透明性にこだわったブランド

- yaunnでは、どういった製品を扱っているのですか?

yauunは日常のリラックスをテーマにしたライフスタイルブランドです。日常で使うものの製造工程を“知る”ことで、忙しい毎日の気持ちのリラックスにつながるようなブランドを目指しています。第一弾の製品は、【LOUD AIR(ラウドエアー)】というファッションブランドのデザイナー・岡村成美さんにデザインしていただいたシャツ。第二弾は陶芸作家の岡崎慧佑さんに製作いただいたカップ&ソーサーを販売しています。

- シャツのデザインにも凝っていらっしゃいますよね。

製造工程を伝えたいというコンセプトを持つブランドは他にもあると思いますが、完成品にデザイン性が入らないものが多いと思います。私は、ファッションは個性を出すものだと考えていて、ただシャツを作るのではなくデザイン性も求めて岡村さんにデザインをお願いしました。ブルゾンタイプシャツ・アシンメトリーシャツ・ドレープシャツの3パターン全てユニセックス・ワンサイズの展開となっています。

- ライフスタイルブランドとして、どのように製品を展開しているんですか?

製品は日常で普段使うものを揃えていて、オリジナル製品以外にも洗濯用洗剤を取り扱っています。洗剤を作ったクリーニング店 LIVRERに実際にyaunnのシャツを洗濯してもらい、洗濯方法についてアドバイスいただいたことを記事にしてブランドサイトに掲載しています。

身の回りにあるもの、身近なものを誰が作ったのか、誰が関わったのかを見えるようにしていきたいので、毎日手に取るもの・毎日使うようなものを提案していきたいです。

自分にしっくりくる服を着る

- 陳野さんが感じる、アパレル業界の課題はありますか?

一般的な話でいうと、今はみんなが同一化してしまう様な服が多い気がしていて。体型やコンプレックスを隠したり、流行のいいとこどりをしているから同一化して見える。そこに、アパレルとして別の価値を提供できるといいのかなと思います。

あとは、価値の見える化の部分ですね。例えば、私が「このシャツの生地がどこで作られたのか知りたい」と思ってインターネットで調べてもたどり着けない。そういった現状で製造やサプライチェーンの価値を見える化するには、メーカーが動く必要があると思います。

- 陳野さんはどんな基準で服を選びますか?

基本的には自分が好きなものを好きな様に着ることを意識しています。服を着て元気が出る時って、自分らしさが出てるなって時だと思うので、自分が似合うと思う服を着るのが1番いいと思っています。最近は、自分の中の基準に合わせてヘビロテするものだけを買っていますね。

- たしかに。自分の中の基準ってどういうことですか?

外に基準を求めると、流行り物を選んでしまうじゃないですか。そうなるとずっと流行りを追いかけることになると思うんですけど、自分の中に選ぶ基準があると、そのアイテムを選ぶ理由とか、着ている理由がしっくりきて心地よくなると思うんですよ。製造工程を伝えることもその1つだと思っていて。「ここがいいと思ったからこれを着てるんです。」って言える1つの物差しになるじゃないですか。消費者が選択する際の物差しづくりにもyaunnが役立つといいなと思います。

- 今後挑戦したいことや目標はありますか?

ブランドコンセプトや製造工程をコンテンツだけで発信するには限界があると思っています。工程のそれぞれに価値が存在することを伝えるには、ユーザーを巻き込んでいくサービスが必要。

以前、ファッション系ECサイトの「送料が高い」「送料は無料なわけがない」という論争が話題になりましたが、ものを届けてくれるという価値が見えにくくなった結果だと思います。もちろん価格を下げる努力は必要ですが、そこには人やサービスが関わり合い、便利な世の中になっていることを認識することが大事なんです。ITの力で製造と消費者をもっと近づけ、価値が見えるようにできたらと思います。サプライチェーン全体に関わりながら、消費者の意識がちょっと変わるようなサービスを作れたらなと思っています。

yaunn:https://yaunn.jp/

Instagram:https://www.instagram.com/yaunn_jp/

Facobook:https://www.facebook.com/yaunn.jp/


どうしても距離ができてしまう、製造業と消費者。その距離感を変えることができるのはメーカーなのかもしれません。陳野さんのように、プロダクトを作りながら製造工程や情報を発信するブランドが増えることで、消費者の価値観も少しずつ変わるのかもしれません。

会社ではなくプロジェクト単位でチームを作り、プロダクトを製造しているというyaunn。取り組み先や、チームメンバーなどコンセプトに共感して一緒にものづくりをしてくれる方を募集しているそうなので、気になった方はyaunnにお問い合わせをしてみてください。

撮影協力:the AIRSTREAM GARDEN(https://airstream-garden.com/about/

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