2019.05.15 COLUMN

レンタルサービス2.0時代?ユーザーは「選んでもらう」ではなく「選べるようになる」

by 深地雅也

こんにちは、深地です。

業界の中にいると、知らないうちに盲目的になっている事がしばしばあります。それは例えば服の価格に対する感覚。一般的に1万円のTシャツってめっちゃ高いんですが、ファッション業界の中にいると普通の値段のように錯覚してしまいます。こういった事例は、実は業界の随所にあって、一般的な感覚を忘れがちになります。先日も少しハッとさせられる一言を目撃したのが下記です。

インフルエンサーのえとみほさんのツイートなんですが、服が好きな人からしたらこれも忘れがちな事実です。何故なら服好きにとって「選ぶ」という事はエンターテイメントなので、まさか地獄と表現されるなんて思ってもみない事でしょう。しかしこの感覚と同様の感想を持っている人は実は多いのではないでしょうか。

 

どういう風に見られるかは気になる?

百貨店アパレルの本部勤務の方にお話を聞いたところ、3040代でそこそこの役職があるキャリアウーマンが最近よく購入する衣料品はオーダーメイドが多いそうです。これは「相手によく見られたいけど、何を選べばいいのかわからない」というインサイトを現しているようです。ある程度のキャリアがある方って、見た目には気を使ったほうが仕事上都合が良い。しかし、普段からバリバリ働いている人にとって一番の問題は時間です。ゆっくり選ぶ時間ははあまり取れないでしょうし、服を自分で選んでこなかった人にとっては何を選んだらいいのかわからなくなるものです。こういった事からも、【エアクローゼット】のようなレンタルサービスを中心とした「選んでもらう」サービスが乱立しています。

 

そんなレンタルサービスが当たり前になりつつある中、海外で人気のレンタルサービスである【Rent the Runway】がリアル店舗をオープンするという事でニュースになっておりました。

Rent the Runway just opened its largest brick-and-mortar store yet

 

こちらのリアル店舗、驚いた事に商品が展示されているだけでなく、スタイリストが常駐しており、コーヒーも飲めて、お仕事の為の作業用スペースがある上に、20室の化粧室まであるという環境です。上記の施策は、確実にユーザーの可処分時間を奪いにいってます。これが意味するものは何なのでしょうか。

 

「選べるようになる」も必要?

上記のtechcrunchの記事内にもありますが、このサービスの対象顧客は「忙しい女性」です。ですから、本来であれば「時短」というものがサービスの肝であり、選ぶ時間を省くからこそ付加価値が高かったように思います。しかし、ゆったりとした空間の中で自由に商品が選べるというものはこれの対局に位置するものではないかと。

ファッション業界にいる服バカなら経験があるかと思いますが、服が選べるようになるには「トライ&エラー」が必要です。購入した後、失敗に気づき、1日中ブルーな気分で過ごす…という事を経験した人は多いでしょう。(筆者もたくさんあります。)しかし、その経験があるからこそ、今自分に似合う服を自分の意思で探す事が出来ているのではないでしょうか。

Rent the Runwayの新店舗は、ユーザーの可処分時間をより奪っていく事によって、今までサービスとして省いていた「選べるようになる」という価値を付け足してきたように思います。何せ、この空間内でなら展示されている商品は試着し放題な訳ですから。もちろん、そんな時間を勿体ないと思う方も一定数いらっしゃるでしょう。しかし、選べるようになった先にあるファッションが与えてくれる高揚感を知っている人間からすると、このサービスが普及した先に希望を抱かずにはいられません。「選んでもらう」から「選べるようになる」サービスが普及した時、選ぶ事を楽しいと感じるユーザーが一人でも増えてほしいと切に願っております。

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