2019.05.08 COLUMN

本物との差はどこ?フィリピンで見た、偽ブランド品マーケットの実情

by 深地雅也

こんにちは、深地です。

ゴールデンウィークにちょっとした用事があってフィリピンに行っておりました。せっかくなので現地マーケットを視察していたのですが、ブランド品の偽物が販売されているマーケットがあり、興味深いと思い調査してきました。というのも筆者が訪れたフィリピンのセブ島はリゾート地なのですが、ラグジュアリーのマーケットがあまり無い場所なので、このマーケットがどういった経緯で発展してきたのか気になった次第です。

 

偽物にもランク付けがある

こちらが偽物マーケットなんですが、あちらこちらに偽ブランド品が無造作に置かれています。店員さんも日本人を見かけるとかなり積極的に接客してくるのですが、普通に「Super copy!」って言ってきます(笑)

バッグだけでなく、ウォッチブランドもたくさんありました。

何故かマーケットの中心には足つぼマッサージが

メンズはスポーツブランド中心。スニーカーも山盛りです。

マーケットを観察していて驚いたのは、精巧に作られた偽物は「クラスA」と呼ばれ価格もやや高く、クオリティが低い物は「クラスB」と、それぞれ住み分けがされていた事でした。つまり、偽物か本物かの二元論では無く、その世界はグラデーションだったのです。このような情報は以前からも報じられてはいましたが、目の当たりにするのは初めてでしたので衝撃的でした。側から見たらただの偽物なのに、クラスAだと言われると、それ相応の価値があるのか?とちょっとでも思ってしまうから不思議なものです。余談ですが、韓国や東南アジアに来ると大体このような模造品のマーケットが存在しますが、どうやらフィリピンはその中でもクオリティが高いようです。確かにぱっと見ではわからないものばかりですし、そもそも本物自体がそれほど製品スペックの高いもので無ければ、もはやどちらが本物か偽物かは品質レベルでもわからない状況です。

上記はバレンシアガの偽物のキャップ。お値段1000ペソです。(約2000円程度)これ、本物は40000円くらいするのですが、率直に言っても製品として大きな差があるようには思えないです。ブランドが保証するものとして「品質」という一要素がありますが、それが大差無いとしたら本物と偽物の境界線はどこにあるのでしょうか。

 

生産背景を公開する事が偽物販売の抑止力につながる?

ハイブランドが提供する付加価値で大きなものとして、購入の体験というものがあります。ラグジュアリーな空間とマナーの行き届いた販売員の対応などが価値を押し上げるというものです。それとは別に、職人のハンドメイドや品質保証など、物に対する価値も当然存在します。それがこの偽物のマーケットでは非常に曖昧になっているのです。ではこの境界線はどうすれば明確になるのでしょうか。

 

昨今、生産背景を公開する企業がどんどん増えてきました。エバーレーンが代表的ですが、ユニクロやH&Mまでもが一部生産背景を公開し出しています。このブランドのこのアイテムはどんな素材を使い、どれくらいの原価で購入されているのか。という事がどんどんWebサイトで確認できるようになってきています。

 

H&M」が商品の生産国や工場をウェブで公開

 

ユニクロ主要素材工場リストの公開について

 

これらの取り組みの目的はサステナビリティの発信や企業としての信頼性の担保など様々あるでしょう。企業がこういった情報を公開する事で、当然ですが本物で無ければそこに記載されている価値を享受できず、偽物に対する付加価値を相対的に落とす事が可能になるのではないでしょうか。

もちろん、見た目さえブランド品と同様で良ければ問題無いという層は一定数存在するでしょう。しかし、偽物と本物の価値がグラデーションのように曖昧であるのなら、こういった取り組みは決して無駄にはなりません。曖昧な境界線の中で、より価値を感じられる方を選ぶ人も増えるのではないか。この特殊なマーケットを見ながら、ふとそんな事を考えた次第です。

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