2019.02.18 INTERVIEW

ファッションをビジネス側で支えたい。24歳のブランド経営者が見るアパレル業界

by STYLE it.編集部

アパレル・IT業界で働く人々の働き方・想いを紹介していく連載「私のファッションスタイル」。第5回は、ファッションブランドの経営や海外メディアのディストリビューションなどを手がける【Brand’s Right Hand(BRH)】の社長、恩地祥博さんにインタビュー。ファッション業界をビジネスサイドから支えたいと考える彼が、ファッションを好きになった理由や、叶えたい世界についてお話してくれました。

“ダサい”野球少年が、ファッションの虜に

- ファッションを好きになったきっかけはなんですか?

高校2年生のときに、付き合い始めたばかりの彼女と始めてデートをしました。僕は中高野球部だったので私服を着る機会がなかったんですけど、デートということで、自分の中で1番いいと思う服を着て行ったんですよ。そうしたら、次の日から彼女に学校で会っても無視されたり連絡も返ってこなくなって…。おかしいな、と思っていたら友達から「お前の私服がダサかったから萎えたらしいよ。」と聞かされました(笑)。

- それはなかなかきついですね…(笑)

そうなんですよ。「これはやばい。」と思ってクラスのオシャレな子たちに買い物をする場所を聞いたり、雑誌を読んだりして改善をしていきました。きっかけは彼女にダメ出しされたことだったんですけど、買い物に行ったり雑誌を読むことがどんどん楽しくなっていきました。ダサいって言われていた僕が【Supreme(シュプリーム)】や【A BATHING APE(エイプ)】を着出したもんだから、周りの目も変わってきて。そこでファッションはすごいパワーのあるものだなって感じたんです。

 

電話1つからはじまった経営者の道

- ファッション業界で働こうと決めていたんですか?

ざっくりと働きたいとは思っていたんですけど、やっぱり業界はオシャレな人やかっこいい人・可愛い人がたくさんいるじゃないですか。その中で、自分が活躍することはできるのかという不安がありました。同時に、自分で会社をやりたいという目標もあったのでファッションをビジネスサイドで支える仕事をしようと思い、大学を1年休学してインターンシップにコミットする時間を作りました。

- どんなところでインターンシップされていたんですか?

まず、【The RealReal(リアルリアル)】という、アメリカでスタートした中古のラグジュアリー品をECで販売している会社でインターンを始めました。そこでは、SNSやマーケティングをメインに任せてもらいました。その後、ロンドン発のラグジュアリーブランドのECサイト【Farfetch(ファーフェッチ)】でPRの仕事を行い、トータル1年2ヶ月のインターンを終えて復学。単位を取り終えたタイミングで9ヶ月ほどニューヨークに留学にいきました。ニューヨークでは、【GEORGE ROOT LTD.(ジョージルート)】というニューヨークを拠点にしたデジタルPR会社でPRの仕事をしながら、【Fashion Institute of Technology(ファッション工科大学)】でブランドマネジメントの勉強をしました。

- 学生時代から様々な経験をされていたんですね!現職についたきっかけはなんだったんですか?

実は、大学を卒業したらニューヨークに戻りたいと考えていたんです。まあその過程でもちろんいろんなことがあって断念してしまったのですが、大学4年生の時に知り合いの投資家さんとランチをする機会があり、ブランド経営やPRをやりたいとお話したところ、今の会社の会長紹介していただきました。大学の授業を抜けてスカイプで連絡を取ると、彼が経営している会社の1つにブランド経営の会社があり、初見にも関わらず彼が経営している会社の一つを任せたいとお声がけいただいたんです。その時はもう、食い気味に「できます!!!やります!!!」なんて返事をしていました(笑)。あとあと親友に相談をしたら「それ詐欺じゃないの?」と心配をされてしまいましたが、世間的にも露出されている人だったので、疑うこともなく飛びついちゃいましたね。そこから、1年半くらい会社を経営させていただいていて、今では現場を全て任せてもらい、会社の方針に関しても僕の意思決定を尊重していただいているので、その時の判断はすごく良かったなと思っています。

 

PRから営業まで徹底的にやりきる

- 会社としてはどのような事業を行なっているんですか?

ファッションブランド経営や、海外メディアの日本窓口をしています。最近では、これからブランドを始められる方のパートナーとして事業を推し進めたり、プランナーのような形で“企業のファッション化”に注力しています。僕はセールス、PR、デジタルまわり、もちろん予算組みから管理までを代表として幅広く行なっています。

- 実際の業務をもう少し詳しく教えてください。

百貨店や大手セレクトショップ、地方店などのバイヤーさんにコンタクトをとって、弊社のブランドの取り扱いをしていただく交渉をします。とは言ってもバイヤーさんは膨大なブランドから営業メールを受け取っているので、基本電話営業や、地方店などには実際にお店に足を運ぶこともあります。

PRの仕事はブランドの認知度をどう伸ばしていくか、どうしたらいいイメージを伝えられるかというところじゃないですか。なので、一部外注はしていますが、そこに関わってくることは全般的にやっています。最近の若い人は雰囲気やブランドイメージを重視して洋服を買っているので、ハッと手が止まるような、素敵なブランドだと思ってもらえるビジュアルを発信するために、月に1度SNS用の撮影も行なっています。ファッションショーでの露出にも力を入れていて、メディアに取り上げてもらうだけでなく、SNSでの拡散を意識したりブランドの世界観を伝えてくれる方を招待したりしています。前回のショーでは、招待したモデルの皆様にブランドのアイテムを着用していただき、来場者の全員がブランドの服を来ているという演出をしたことが話題になり、業界の方に評価していただくことができました。

 

若さと経験不足を埋める努力

- 1年半経営してきた中で1番大変だったことはなんですか?

僕は学生の時にこの会社の代表を任せていただいたので、ブランドの方々からの信頼を得ることが大変だったと思います。年齢や経験のギャップを乗り越えて意見を受け入れてもらったり、デザイナーさんなどが何を考えてどういう世界を目指したいのかを汲み取って、ビジネスとして運用していくために必要なことを常に考えたりすることが大変でした。

ー どうやって信頼を得ていったのですか?

例えば、撮影の現場などでも雑用を積極的にやるようにしています。ファッション業界は華々しい世界だと思われがちですが、裏側では地味で大変なことが多いじゃないですか。そんな中で僕が率先して雑用を引き受けて一緒に泥水をすするじゃないですけど、僕の真剣さや姿勢を行動で示してきたと思っています。あとは、純粋に結果を出すことです。なんだかんだこれが一番重要で、よい結果はみんなをハッピーにしてくれますよね。

ー 仕事をする上で常に意識していることはありますか?

良くも悪くも、僕はまだ若いので上手くやろうとしないというところは意識しています。業界での経験も少ないし、分からないことがたくさんあるんですよ。でも、それはいいことでもあると思っていて。業界の“普通”を知らないので、自分がいいと思った方法を素直に伝えられるし実践できるんです。会長も、僕のそういったところに期待して声をかけてくれたと思っています。上手くやろうとせず、常に挑戦をし続けたりアップデートをするようにしています。

 

いいモノを生み出す人が評価される世界をつくりたい

ー ファッション業界で働いて気づいた課題はなんですか?

まだまだアナログな部分が多い面や、デザイナーとして食べて行くことが難しいなど、正直課題はたくさんあります。SNSでのインフルエンス力が売り上げに繋がる現代において、モノで勝負をしているデザイナーさんの肩身が狭くなっていたり、他の業界に比べてプレーヤーの新陳代謝が良くなかったりしています。今のファッションカルチャーを作っている若い子たちが、ブランドをだしたり面白いことをできる環境が必要だと思うし、作りたいです。そのためにも、業界で働いている身として若い子を巻き込んだり、積極的に意見をしていこうと意識はしています。

ー 個人的な今後の目標はありますか?

もともと、日本のLVMHのような会社を作りたいと思っていました。とは言っても、今のめまぐるしい変化が起きている時代に同じものを作ることは、あまり現実的ではないとも思っているので、形に囚われずファッション業界で多角的に挑戦して、業界になにかしらのイノベーションを起こしたいですね。

実際すでに動き出しているおもしろいプロジェクトもあって、ただまだ公表できないことが多いのですが。それが公になった時、僕はより胸を張って自分が目指している世界を語れると感じています。ファッション業界内外、国内外の枠を超えてインパクトを与えていくことに絶えず挑戦し続けるということが目標です。

 

Brand’s Right Hand

Twitter:@onchan1114

Instagram:@onccchi


まだ24歳という若さにも関わらず、様々な経験を積み活躍の場を広げている恩地さん。ただ転がってきたチャンスを掴んだわけではなく、新しく刺激的な環境に飛び込み努力を積み重ねてきたからこそ、今の彼があるんだと実感しました。信念や叶えたい未来に向かってまっすぐ進み続ける彼が作り出すファッション業界がとっても楽しみです。

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