こんにちは、深地です。
先日、WWDを読んでいましたらとっても興味深い記事を発見しまして、、、
ウーバーで偶然乗り合わせたカップルが作る異色のストリートブランド「ABC.」
タイトルからとんでもなくキャッチーなんですが、【ADVISORY BOARD CRYSTALS(アドバイザリー ボード クリスタルズ)】というブランドの記事でした。そんなドラマチックなブランドの始まりが本当にあるのか?と半信半疑で読んでいましたら、とにかくコンセプトからプロモーションまでめっちゃ面白いブランドなんです。(肝心の出会いの部分に関しては記事を読んでみてください。)ブランドの根幹をWWDの記事から抜粋しますと、
・クリスタルをインスピレーション源にした手染めの技術と、DIY的なディテール
・(永遠の若さ)”や“living forever(永遠に生きる)”がブランドのテーマ
という内容で、商品のロゴやシューズにクリスタルをあしらったりとデザイン的にもわかりやすい訴求。コラボ相手も「ウィキペディア」や「ネルソン・マンデラ」と、普通のファッションブランドではコラボ先に選ばないようなところを選択しているのも面白いです。どんな風にブランドが拡散されていったのかな?と気になったので深掘りしてみる事にしたのですが、何と…、
ブランド公式サイトが無い!
このご時世にまさか…、って感じなのですが公式サイトはおろか自社オンラインショップやTwitter・Facebookアカウントもありません。で、見つかったのはInstagramのアカウントのみ。仕方が無いので1回目の投稿から見ていく事にしました。
とにかく初期は服の投稿が少ない!
初期の投稿からハッシュタグもほとんど使わずなのでソーシャルでの拡散ってそこまで考えてない印象を受けます。それよりも世界観を演出する事にこだわりがあるんではないかと。(ブランドのインスピレーション源にもなっているクリスタルのマップが投稿されていたり…。)初期の頃の投稿は服の写真は一切無く、ずっとクリスタルについて連投されています。
こちらはクリスタルの採掘作業の動画ですね。とにかくイメージの作り込みに注力しているのがよくわかります。
有名セレクトショップでの取り扱い・コラボ
ブランドが成長していく兆しなんですが、初回の投稿からわずか4ヶ月程度で、でロサンゼルスの「ユニオン」というストリート系の有名ショップで取り扱いが始まっています。
その数ヶ月後には有名セレクトショップの「コレット」とコラボしています。わずか1年足らずでここまでブランド認知が進んでいるのは恐れ入ります。
この頃には商品に長文のキャプションが付くようになっていて、完全に商品詳細ページと同じ役割果たしてますね。商品の意味やうんちくなんかを詳細に書いてくれています。動画になっているのですが商品は静止したまま音楽だけ鳴るようになっていて、音によるイメージの増幅を狙っているように感じます。
型数の増加・メディア掲載・セレブの利用
1年以上経つと型数も増えたのか、商品の投稿数が飛躍的に増えています。この頃には既にアメリカの有名百貨店「バーグドルフグッドマン」での取り扱いも始まっていますね。
モデル撮影も増えてきて、スタイルでの訴求が目立ってきます。その後、とうとうVogueにも掲載され、そこからはセレブ着用画像が投稿されたり、メディアに掲載されたりと、火がついていく様子がよくわかります。
・メディア「ハイプビースト」への掲載
また、様々なコラボもこの後どんどん仕掛けています。
・自転車ブランドとのコラボ
・ナイキとのコラボスニーカー
・スワロフスキーをロゴに使用したパーカー
・ウィキペディアとのコラボ
・南アフリカ元大統領Nelson Mandela(ネルソン・マンデラ)氏の生誕100年記念アイテム
Instagramを時系列に見ていけばブランドの理解が深まる?
Instagramを初期から時系列に見ていきますとブランドがどういうメッセージを発信しているのか、そしてどう成長していったのかよくわかります。確かに公式サイトがあると世界観を発信しやすいですし、コンテンツを充実させていく事も可能です。しかし、そういったコストやリソースが割けない場合は、Instagramの投稿を整備するだけでもここまでわかりやすくブランドについて発信する事が可能なのです。
アドバイザリー ボード クリスタルズのInstagramを見ていると、まるでブランドが一つ一つ丁寧にストーリーを紡いでいるようにも見えます。ブランドが情報発信をする場合、ユーザーにどのようにストーリーを伝えていくかあらかじめ設計しなければなりません。ブランドの現状のリソースと優先すべきタッチポイントを理解した上で、ユーザーとのコミュニケーションを設計するのもブランド戦略の重要なポイントになりそうです。