2018.12.25 INTERVIEW

4大卒のバッグブランドデザイナーに聞く、デザインアイディアの落とし込み方

by STYLE it.編集部

アパレル・IT業界で働く人々の働き方・想いを紹介していく連載「私のファッションスタイル」。第4回は、【株式会社Gallet(ギャレット)】が運営するブランド【Edie Tokyo(エディートーキョー)】のデザイナー・諏訪朱音さんにインタビュー。幼少期からファッションが好きだった彼女が、4大を卒業してブランドを立ち上げるまでのことや、デザイナーというお仕事についてお話してもらいました。

物心ついたときからファッションがあった

- ファッションを好きになったきっかけはなんですか?

母や祖母がファッション好きだったこともあり、物心がついた頃から家のテレビでパリコレの映像が流れていたり、いろんな洋服を着させてもらったりして、“ファッションはすごく素敵なもの”だと自然と思っていました。自発的に好きになったというより、育った環境が大きいですね。小学校低学年の頃から将来の夢はデザイナーで、絵を書いたりしていました(笑)。

- ずっとデザイナーを目指していたんですか?

いえ、小学校の高学年からはストリートダンスにのめり込んで、ファッションだけでなく音楽やダンスも好きになりました。その時「道筋は一つだけじゃないな」と感じ、1度視野を広く持つために高校卒業後も専門学校には行かず、興味のあることを突き詰めたいという思いから、文化やカルチャーを学べる4大の文学部比較文化学科に入学しました。

大学在学中にアルバイトでアパレルの販売をしていく中で、改めて服が好きだと思い就職活動の際はアパレル関係の企業を受け、新卒で販売職に就職しました。しかし、「アルバイト含め販売は3年もやっているし、このままではずっと同じ仕事しかできないんじゃないか」と不安に感じ、Illustrator CCのようなクリエイティブツールを使えるスキルを身に付けるために、ブランドライセンスの管理会社の企画営業職に転職。3年勤務し、ある程度ツールが使えるようになったタイミングで、Galletに企画・デザイナー職として転職しました。

- 入社されてからすぐにデザインのお仕事をされたんですか?

そうですね。前職でツールの使い方を学んだとはいえ、パス(※1)を駆使して絵を描くようなことはしていなかったので、指示書(※2)や絵型(※3)も全く書けませんでした。ひたすらにいろんな案件を受けさせてもらって数をこなして、やっと回せるようになりました。

入社当時はまだ絵型も描けない段階で入社したので自分のブランドのことまでは考えておらず、まずは絵型描けるようになって、少しでもアパレル業界の一部になれたらいいなと思っていました。ただ、ご縁があって入社させていただいて、2年半前オリジナルブランドを強化していく流れの中でEdie Tokyoを立ち上げさせてもらいました。タイミングと運がよかったなと思います。

自分が気になる物をまとめて、デザインに

- デザイナー業で大変なところはどんなところですか?

現実的な話をすると、好きな物と売れるものが違うところです。私が欲しいと思っても世間の流れとは違っていることがあるので、そのギャップを埋めることが大変です。実際、展示会毎に新作を20型ほど出すんですけど、自信があった商品がドロップ(※4)したり、バイヤーさんとお話をした際に、出すタイミングを間違えたと感じたりすることがあります。また、ズレがないように日々リサーチをしていても、早すぎたり遅すぎたりするので、タイミングを計るのが難しいということもあります。次のシーズンに生地を変えたり仕様を変更することで当たることもあるので、トライ&エラーを繰り返しながら工夫を重ねています。

- 難しいですね…。普段どんなことを考えながらデザインをされるんですか?

私の場合は、音楽や映画、時代背景、国、などその時一番気になっている物・コトに気づくことから始めています。日頃可愛いと思って撮り溜めているスクリーンショットや、いいと思った映画、今グッとくる音楽をかき集めて、気になっている物を掘り起こして、ディレクションを組んでいます。お客さんと話していても、ストーリーやルーツのある物に興味を持ってもらえると感じたので、「この時代背景がよくて、この時代のこういう感じがいいと思っているので、こういう素材を使って、こういう雰囲気を出してます。」という風に説明できるようにしたいです。時間をかけてまとめた“今気になる物”に、私がいい!と思える要素をドッキングできたら最強ですね(笑)。点と点を線で結ぶ作業を肉付けしながら落とし込んでいく感じですね。

- その作業はどのくらいの期間で行うんですか?

収集の作業は365日通して行っていて、それをまとめるのは大体1ヶ月くらいです。そこから半月で企画に落とし込んでいくので、2〜3ヶ月くらいでシーズンのディレクション組みからサンプル依頼まで終わらせています。大きなメインの展示会が年2回と合間にスポット展が2回あるんですけど、基本はメイン展で一気に見せるので、次回の展示で展開する商品(19FW商品)は、9月下旬くらいから少しずつ準備を始めています。

- インスピレーションの元を具体的に教えてください。

インプットはPinterest・映画・洋書・音楽がメインですかね。大体Pinterestなどで気になる画像を探しています。他には、見たい映画を見つけた時に「なんでこれが気になったんだろう」と考えて、そこから「この挿入歌いいな」「監督はどういう人なんだろう」「どういう作品撮ってるんだろう」と深堀してその監督の映画を一通り見たりします。

- 中でも大切な映画はありますか?

アンディ・ウォーホルが好きなんですけど、彼がスタイルアイコンにしていたイーディ・セジウィックの生涯を描いたファクトリー・ガールという映画が、Edie Tokyoの根幹にあります。Edieはイーディ・セジヴィッグのイーディと同じスペルでエディと読んでいたり、スタイルアイコンになるようなブランドにしたいという意味も込もっていたりと、大切な映画の1つです。

視野の広さとフットワークの軽さが必要

- デザインをする際に譲れないことやこだわりは?

譲れないところは、その時に流行っている素材があったとしても、その素材がピンとこなければ絶対に使わないとか。自分がしっくりきていない商品は世に出したくないです。

こだわりでいうと、Edie Tokyoを立ち上げる際に最初に掲げた理想の人物像が“自立している女性”で、男性よりもかっこよくて、自分のスタイルを確立しているような強気な女性になって欲しいという願いを込めています。あとは、私自身長年使っているアイテムは、全体的にベーシックだけど少し癖があるようなデザインが多いので、Edie Tokyoでも普通だけどちょっと癖のあるデザインをしていきたいなというのは根本にありますね。

- デザイナーという職種に必要なスキルや特徴はなんだと思いますか?

うーん、引き出し。っていうと色々あると思うんですけど、モードが好きだからモードのコレクションしか見ないとか、ハイエンドが好きだから伊勢丹しか見ない。ではなくて、上から下まで隙間なく見て企画することが大切だと思います。好きな物だけ見てする企画と、好きじゃない物まで見てする企画とでは全然意味が変わると思うんですよね。思考が固まっていると視野が狭くなる。さまざまな物を見てデータを集めた上で、「でも自分はこれが好きだからこれを作る」という視野の広さを持ち、フットワークが軽い人が向いてると思います。

- 今後の目標はありますか?

今はレディースバッグをメインに展開しているんですけど、もう少しユニセックスな商材や、ジェンダー関係なく着られるもの、ステッカーなどお客さまに身につけてもらえるようなアイテムを増やしたいと思っているので、アイテム展開を充実させるところが目標です。今はECショップしかないんですけど、ポップアップショップを展開したり、Instagramを見てくださっている方と直接お会いしてお話できるような機会ができたら励みにもなるし、そういうイベントができたらいいなと思います。

 

【Edie Tokyo】
Instagram:https://www.instagram.com/edietokyo/

公式ECサイト:https://edietokyo.shop/

 

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小さい頃から、ファッションに関わる仕事を目指してきた諏訪さん。しかし、ファッション業界にのみ留まるのではなく、広い視野を持って他の世界も見たからこそ、デザイナーとしての視野の広さやフットワークの軽さがあるのだと感じました。そんな諏訪さんがデザインするEdie Tokyoのアイテムもぜひチェックしてみてください。

 

※1:パスとは1つまたは複数の、直線や曲線のセグメント (線) から構成された図形のこと
※2:デザイン/図面・寸法・使用する生地・ファスナー・パーツの種類等を記載したもの
※3:モノトーンで描かれた、イメージを浮かびやすくするためのイラストのようなもの
※4:展示会で発表していたが、一般発売がされなかったもの
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