2018.12.11 INTERVIEW

代官山で見つけた小さな工場。老舗繊維メーカーが挑戦したクラウドファンディング

by STYLE it.編集部

インターネットを通して不特定多数の方から資金調達を行うクラウドファンディングをご存知でしょうか?最近では、スタートアップや学生、クリエイターなどさまざまな方が挑戦をしています。そんなクラウドファンディングに挑戦し、代官山に「小さな工場」を作った1887年創業の繊維樹脂製造メーカー【三星グループ】の代表に、クラウドファンディングを行なった経緯や感想など、その後のお話を伺ってきました。

代表・岩田さんの個人インタビューはこちら

小さな工場を、代官山に

- 2017年7月にクラウドファンディングを行なったとのことですが、なぜ始めようと思ったのですか?

忙しい日常生活の中では、我々が素材について意識することはほとんどありません。しかし、同じ商品ばかりが溢れているように見えても、少し素材感が違うものに目を留め、気になったらインターネットで作り手の想いや背景を調べてみる。それを繰り返しているうちに、素材だけでなくものづくり全般に興味関心が広がり、物を買うこと・使うことの味わいが増しました。

このような人と素材の素敵な関係は、放っておいて簡単に築けるものでもなければ、単にいいものを作るだけでも成り立たちません。私たちメーカーが積極的に情報を発信したり、一般の方が素材に触れられる場や機会を作ったりしながら、新しい価値を作っていくことが使い手・作り手の双方にとって必要なのではないか。と考えたことがスタートです。今まで企業との商談で使用していた代官山ショールームを、プロに限らず一般のお客様にも「商品を触って、見て、感じられる場」としてリニューアルしたいと思い、クラウドファンディングを決意しました。

 

- このショールーム型店舗のコンセプトを教えてください。

使い手と作り手が繋がる場所というのをコンセプトにしていて、実際に工場で使われていた材を使用してリノベーションをしています。そういったところでも工場で雰囲気を伝えられると思います。布の触り比べもできるので、触り方や感じ方を知ってもらうことで興味を持ってもらった上で、機会があれば工場に足を運んでいただいて、工場で働く人や雰囲気をリアルに感じていただけたらいいなと思っています。

 

- クラウドファンディングの開始から終了まで、どのようにプロジェクトが広がっていきましたか?

最初は知り合いから始まりました。私から友人に「こういうことやるので、よかったら応援して。」と投げかけたことが大きかったです。少しずつプロジェクトの進捗を発信したり、クラウドファンディング中にプロピッカーを行なっている【Newspicks(ニュースピックス)】のラジオに出演させていただいたりしました。そこでクラウドファンディングとファッションの相性についてのニュースについて話したことで、支援を考えてくださっていた方の後押しにもなり、最終的には100人を超える方にご支援いただくことができました。

 

クラウドファンディングを通して気づけたこと

- クラウドファンディングを使ってみていかがでしたか?

私が行なっている事業を何かしら応援したくても、なかなかきっかけがないと感じてくださっている方々がいらっしゃいました。そういう方々にとって、クラウドファンディングは単に“物を買う”だけはなく、“応援する“という想いも込めて支援ができるので、お互いにとってすごく良い取り組みだったと思います。

 

- 普段から応援したいと思ってくださる方がいらっしゃったことも素敵ですね。リターンはどのような物を用意されていたんですか?

リターンとして、販売しているストールを入れていたので、ストールを探していた方には「ちょうど良かった。」と言っていただけました。意外だったのは、1番最初にオーダースーツのリターンが完売したことです。今はスーツを着る機会も減っているだろうと思っていたのですが、一方で、いいスーツやオーダースーツが欲しいという需要があることに気付けました。クラウドファンディング限定でテーラー(紳士服の仕立て屋)さんと提携していたのですが、現在ショールーム型店舗におけるメイン商品のひとつになっています。

 

- スーツ選びもパーソナルな方に寄っていってるんでしょうか?

そうだと思います。着る機会が減ったからこそ、少し前までは「あればいいや」と思っていたモノから、週1回、月1回、年1回と頻度が少なくなり、せっかく大事な時に着るのであれば、自身の体にあったオーダースーツというのが注目されているのではないでしょうか。更に、スーツの素材を作っている人の顔が見えたり、上質な物だというところが今求められているのではないかと思います。

 

使い手と作り手を近づけていきたい

※実際の工場で使われていた床の材を使用しています。

 

- 実際にお店をオープンしてみて、お客さまの反応はいかがですか?

週末に数名のお客さまに来店していただいています。直接お客さまの顔が見られることが嬉しいです。去年三星のストールを購入してくださった方には、「今年の冬買ったストールの中で1番よかった!」といったお声をいただいたりしています。そういった声を作り手である職人に伝えるとすごく喜んでくださるので、今までより使い手と作り手の距離を近づけることができていると思います。商品に関する要望も聞けたり、新しい商品を作る際に直接お客さまの声を聞けるのはいいなと思います。

 

【店舗所在地】

東京都渋谷区恵比寿西2-20-8 代官山パーフェクトルーム315

 

三星グループHP:http://mitsu-boshi.jp/

 

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歴史が長い業界だからこそ、新しいことを始めるハードルが高いと感じている企業も多い中、クラウドファンディングという新しい手法を取り入れながら、これまでのアパレル業界のあり方を変えていこうとしている岩田さん。挑戦をすることで新たな気付きがあったりと、行動することの大切さを改めて学ぶことができました。

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