ハンドメイドを軸にサービスを展開している【株式会社クラフル】。ハンドメイド業界は、IT業界ではまだあまり注目をされていませんが、実は熱量の高いコミュニティがあり、さまざまな可能性がたくさんある業界だったんです。今回は、代表の大野拓海さんにお話を伺って来ました。
ハンドメイドを軸にした、サービス設計
- 具体的には、どんなサービスを行なっているんですか?
現在、サービスを3つ運営しています。1つ目はハンドメイドに特化したwebメディアの【Handful(ハンドフル)】。作家さんへのインタビューや、トレンド情報、新商品紹介などを発信しています。
2つ目は、メインで運営をしている【Crafulレシピ(クラフルレシピ)】。メディアとEコマースを組み合わせた「メディアコマース」と呼ばれるサービスになります。サイト内に掲載しているハンドメイドアイテムは、契約している作家さんに作っていただいていて、これらの作り方がダウンロードでき、更に製作に必要な資材も合わせて購入できるという仕組みです。
3つ目は、【Crafulコミュニティ(クラフルコミュニティ)】。2018年の夏にリリースしたばかりで、まだ日が浅いサービスになります。こちらは、Crafulレシピ利用者が作ったアイテムの写真を投稿したり、購入品を紹介したりと情報交換を行うコミュニティサービスです。
ストーリー性やコミュニケーション手段になるから、価値がある
- どうしてハンドメイド業界を選んだんですか?
いくつか理由はあるのですが、起業をしようと考えた時に、ハンドメイド業界はプレイヤーが少ない割に、趣味でハンドメイドをしている方もいて、ある程度マーケットが大きいと感じていました。そんな中で、ハンドメイドを軸にしたアメリカのスタートアップ【Etsy(エッツィ)】という会社の創業メンバーで元COOの方と話す機会がありました。彼はハンドメイドのマーケットプレイスについて、「世の中がテクノロジーによって便利になっていく中で、正直ハンドメイドって時代に則していません。しかし、物を作るという行為は、ただ作るだけではなく、そこにストーリー性や人と人が繋がるコミュニケーション手段でもあるので、世の中が便利になればなるほどハンドメイドのようなアナログなことの価値は上がっていくんです。それに伴って、僕たちEtsyの価値は上がってきているし、ユーザーもそれを求めているんです。」という話を聞いて、単純に面白いな、と思いました。
- たしかに。手間がかかるからこそ熱量の高いコミュニティが作られますよね。
そうなんです。やはり、セーター1つ編むのにも2、3ヶ月かかるので、「手間をかけて作ったものを誰かに見てもらいたい。」という思いが強く、制作過程を報告したり、わからないことを教え合ったりするカルチャーがあるので、Instagramの中でもハンドメイド系のハッシュタグが上位にくるくらい、SNSでアクティブに発信している方が多いです。
情報の流通性が低い業界
※CrafulレシピTOPページ
- そんな熱量の高いハンドメイド業界が抱える課題はなんですか?
ハンドメイド業界って、とにかく情報の流通性が低いんです。こんなにインターネットが普及していても、作り方を学ぼうと思ったら本を買ったり、分からないことがあったら手芸店で聞いたりと、情報の取得コストがすごく高いと感じています。また、ネットで作りたいアイテムを見つけても、作り方や資材が分からないことが多いんです。手芸用品は資材や商品の名前を覚えている人も少ないので、検索することも難しい。そこで、僕たちは“作る”行為と、“材料を買う”という行為を結びつけて、アイテムの発見から作成までカバーできるサービスを提供しています。
ITの力を借りて、ハンドメイドの可能性を広げる
- ユーザー同士のオフラインでのコミュニケーションは行われているんですか?
現状はまだ出来ていません。ただ、オフラインのコミュニケーションも今後挑戦したいと思っています。将来的には大きい会場を借りて、さまざまなハンドメイドを体験できたり、海外の資材も見て触って買えたりするイベントをやりたいです。ハンドメイドは世界中どんな国・地域でも行われていて、地域ごとに資材も異なります。利用者が、日本だけじゃなく他の国や地域にある資材を購入したり、資材に紐づいた作り方を知ったりできるようにしたいと思っています。
- 実現できたらすごく盛り上がりそうですね!会社としての、今後の目標を教えてください。
まずは、僕たちが運営しているサービスを必要としてくれる人たちを増やすことが第一目標です。次に、ハンドメイド業界はオンラインで学べるコンテンツが少ないので、動画なり教科書になれるコンテンツを作っていきたいです。「人から直接習いたい」という需要もあるので、カルチャースクールや自分のマンションでワークショップ教室をされている方たちに、僕たちがオンラインからオフラインにユーザー送客をして、オンラインでもオフラインでもユーザーの方が安心感を持ってハンドメイドに挑戦できる環境を作りたいです。ITやwebを使うことで、よりハンドメイド業界の価値が上がるはずだと感じているので、その一端を担いたいと思っています。
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お話を伺うまで、ハンドメイド業界についてあまり知識がなかったのですが、情報の取得コストが高いことやコミュニティ化しやすい特性があることなど、業界について少し知ることが出来ました。オフラインのイベンドなどももちろんですが、テクノロジーをうまく掛け合わせることで、よりユーザーひとりひとりがハンドメイドを楽しめる未来が作れるのではないかと感じました。
株式会社クラフル公式HP:https://craful.co.jp/
Handful:https://www.handful.jp/
Crafulレシピ:https://recipe.craful.jp/
Crafulコミュニティ:https://community.craful.jp/