2018.10.30 INTERVIEW

大事なのは情報の届け方。セレクトショップ経営者に聞いた、顧客リレーションシップ

by STYLE it.編集部

アパレル業界で働く人々の働き方・想いを紹介していく連載「私のファッションスタイル」。第1回は、株式会社KAPOWの代表取締役の苑田宗嗣さんにインタビューをさせていただきました。古着屋の販売員からスタートし、現在神戸でセレクトショップ【FLATBUSH(フラットブッシュ)】やオリジナルブランド【Fulton(フルトン)】の運営、東京ではフラッグシップショップ【ANACHRONORM(アナクロノーム)】のディレクションなど、幅広く活動している彼のファッションスタイルを伺ってきました。

5年の販売員経験を経て独立

 

ー なぜアパレル業界で働こうと思ったんですか?

音楽好きな父親の影響でソウルミュージックの番組を見ていたら、アーティストが着ていた服装がカッコ良くて、似たような服を探して古着屋にたどり着いたことがきっかけです。最初はモテたいとかかっこよくいたいという不純な動機でアパレル業界に憧れていたんですけど、いつの間にかファッションが好きって気持ちの方が勝っていました。自分の店を持ちたいと思い古着屋やセレクトショップで5年ほど経験を積ませてもらった後、独立しました。

ー 当時、ファッションの情報はどのようにチェックしていましたか?

雑誌も見てたんですけど、僕はショップに行くことの方が多かったです。雑誌を見てもみんなと同じ情報しか手に入らないけど、ショップに行くと生の情報が手に入るんですよ。今も同じじゃないですか。ネットで色々調べられる時代だけど、その情報は誰でも知ることができるので、一歩先を行こうと思ったら違う行動をしないと。

 

ストーリーのあるブランド作り

ー お店や服のデザインのインスピレーション元はなんですか?

ニューヨークですね。セレクトショップの屋号にしているFLATBUSHは、ニューヨークのブルックリンにある大きな道の名前なんです。僕が古着屋で働かせてもらっていた時に通っていた買い付け先がニューヨークで、その中でも1番好きなエリアだったFLATBUSHの名前を拝借して世界観を作っています。街そのものを再現する訳ではなく、そこで感じる空気感を僕らしい見せ方にしてお店やデザインに落とし込んでます。オリジナルブランドFultonもFLATBUSHに交わるストリートの名前なんです。なので、僕的にはそこの交差点は結構聖地ですね。

オリジナルブランドでいうと、「ヨークシャツ」って名前のシャツは、僕らが前回、ニューヨークへ行った時に拠点にしてた駅の「ヨークストリート」って駅名から取りました。そこはマンハッタンから来る人も多くて週末は結構大きいフリマもあるオシャレな場所なんですよ。なので、「ここを歩いててもかっこいい」と思えるシャツをイメージして、生地を選んでから形を考えたりします。

 

“YORK” Shirts / fulton

他には、スケーターが履いてそうなショーツを作りたかったので、スケートパークがあるフランクリンストリートから名前を取った「フランクリンショーツ」を出したり、サーフっぽいイメージの商品には海岸エリアの地名をつけたりと、基本的にはインスピレーションを受けたブルックリンのエリアからお借りすることが多いです。

僕自身は全然できないんですが、スケートもサーフもカルチャーとしてのエッセンスがファッションに欲しい。本気でスケートやサーフをやってる人はすごいかっこいいけど、僕ら普通の人間はそんなんできないじゃないですか。だから、僕らとしてはそれをファッションとしてお借りして表現してます。

 

ー お客さんはスケーターなどストリートファッションが好きな方が多いんですか?

いやいや、そんなことないんですよ。FLATBUSHのお客さんは年齢も職業も様々で、男性はもちろん女性のお客様もいるし、美容学生から30代のお客様も。僕らはそんなに奇をてらった服を出したい訳ではなくて、“みんな着れるけど周りとちょっと違う服”が多いので幅広いお客さんに来ていただけていると思います。オープン当初から来てくれている方の中には、オープン当初から来てくれていて、うちで知り合って結婚したご夫婦もいらっしゃいます。長いメンバーは学生から社会人になっていたり、スタッフもみんな元々はお客さんだったり、アットホームなお店ですよ。10数年も店をやってるとそうなっていくんですかね。

 

お店やブランドが情報を発信をし続けなくちゃいけない

 

ー お店を始めた時と今とでは、お客さんとのコミュニケーション方法は変わりましたか?

基本的には変わらないですね。販路は確かに広がったけど、オシャレしたいっていう気持ちは変わらないから。ただ販路が広がったことに対して、僕らはECサイトやったり、色んなことをしなきゃあかんとは思いますね。大事なのは情報の届け方じゃないですか。昔僕らがお店に通ってた時って、自分から足を運ばないと新しい情報を手に入れられなかったけど、今はお店やブランド側からどう届けるか考えるっていうことも必要ですね。昔は販売員は遊んでるのもよかったし、それがかっこよかったんですけどね。

ー SNSはどのように運用していますか?

1日3回は店舗のスタッフや僕がInstagramやブログなど何かしらを更新するようにしてます。写真はスタッフ同士でスマートフォンで撮りあって、Dropboxに保存することで誰が撮ってもすぐに共有できるようにしてます。

新規のお客様がお店を知ってくれる1番のきっかけになるInstagram、既存のお客様に向けて商品を詳細に伝えるためのブログ、と、内容や目的も使い分けるようにしています。Instagramだと商品の説明が十分にできないだけでなく、いつまで流行りが続くかも分からないとは思ってるので、ベースとしてブログやECサイトを運用しています。時代時代で発信方法を変えていくことが大切なのかなって思ってます。

ー ファッションを届ける上で意識している点はどこですか?

ファッションに対する独自性ですね。僕らだからこそ、っていうファッションがそこにあるかどうか。セレクトショップも、オリジナルブランドも、フラッグシップストアでも“ここにしかない何か”をどういう風に打ち出していけるかじゃないですか。

 

やりたいことはなくならない

ー 今後の目標や、やりたいことはありますか?

大々的にどうこうっていうより、エンドユーザーと近い距離感で今後もやっていきたいです。それを軸に、今後も絶対やりたいことやアイディアが出てくると思います。今までもFLATBUSHをやる中で、セレクトするだけじゃなくて僕らの思う物を違う形で表現したくてFultonを始めたし、東京っていう街でフラッグシップストアを経験したいと思ってANACHRONORMに携わらせてもらったりしているので。

もちろんお店にも立つんですけど、メインのディレクションをする中でやりたいことが出て来たら、その時にちゃんと実現できる自分でいたいですね。で、最終的にはニューヨークに別荘を持ちたいです(笑)。


“独自性”を大切にしながら、時代に合わせて柔軟に変化を続ける苑田さん。世界観や自身の軸がはっきりしているからこそ、時代の変化に上手く乗りながら長年愛されるお店が作れているんだと感じました。ここでは紹介仕切れなかった商品1つ1つのストーリーやコーディネート提案はブログでチェックしてみてください。

 

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